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    告白の行方

     12, 2016 07:00





    「・・・・・以上、法景 治(のりかげ おさむ)がお送りしました。明日、また、同じ時間、同じチャンネルでお会いしましょう。」

    カメラに向かって頭を下げる。


    「カーット!OK~!お疲れ様でした~~!!」


    ディレクターの声がスタジオに響いた。


    「お疲れ様~。」


    イヤホンを外しながら私はスタッフに声を掛けた。


    「お疲れ様でした~。」


    スタッフがそれに応え、口々に労いの声を上げた。



    そのまま控室へ直行して公式には吸ってるはずの無いタバコを一服していると、親友のプロデューサー、原黒源一郎が入ってきた。


    「ウイ~っス!!・・・・今日も良かったよ~、治ちゃん、最高~。あ、・・・タバコ見つからないでよ~。」


    「おう、お疲れ!・・・まあここには誰も入ってこないから大丈夫だよ。」


    「ま、これでも・・・。」


    と、原黒が缶コーヒーを差し出す。

    それを受け取りながら私はある提案をした。


    「なあ、毎年恒例のエイプリルフールネタ、良いのは無いか考えたんだけど・・。」


    「あ、うん・・・」


    「こう云うのはどうかな?・・・俺が番組の最後に突然自分の犯罪を告白し出すっての。」


    「えっ?ちょっと!治ちゃん何かしでかしたのか?」


    原黒はちょっと焦った様子で気色ばんだ。


    「いやいや、そんな事するかよ。そうじゃなくて、告白して、ちょっと溜めて、エイプリルフールでした、ってやるんだ。」


    「・・・う~ん・・・それ、面白いかも!最後に視聴者釘付けって感じで視聴率アップ間違い無し!!」


    視聴率が取れそうなら何でもありなコイツの言いそうな答えだ。


    「そうだろ。ハッハッハ・・しかし・・・どんなのにするかが問題だよな。」


    「・・う~ん・・・あ、でもそれなら・・・いや、流石に治ちゃんにそれは失礼かもな・・・。」


    「おい、何だよ。俺とお前の仲で失礼もクソも無いだろ。」


    「う~ん・・・そうかい?じゃあ・・・あのな、以前他のドキュメントでやったんだけど、自分の有給休暇期間にどんな犯罪が起こっているかって企画で色々調査したら、ほぼ全員の休暇中に殺人事件があるのが解ったんだ。ま、それぞれ場所が違うんだけど、日付と事件は一致するんだよ。」


    「ほ~、なるほど。そう言われればそうかもって感じだな。」


    「うん・・・それで、治ちゃんの過去10年の休暇中に起こった殺人事件は全部自分がやりましたー!っての、どう?」


    「オホッ!!10年分かよ!それは、随分盛るじゃね~か、ハハハ・・・・。」


    「ん?・・・ヤッパやり過ぎかな?」


    「いや・・・良いよ。それ、いこうや。」


    「そうかい?・・・解った、じゃあ・・・それ調べて明日迄に用意しとくわ。」


    「おう、頼むよ・・・クククッ・・・面白そうだね。」


    その日はそのアイデアを思い起こしながら久々に楽しい気分で眠りについた。



    4月1日 放送中


    「・・・以上、法景 治がお送りしました。・・・今日は最後に視聴者の皆様にお話があります。・・・・私、法景は過去10年間・・・休暇中に毎年殺人を犯しておりました。その時期、場所、被害者は次の通りです。・・・・」

    私は原黒が用意した原稿を淀みなく読んでいたが・・・・途中で不思議な感覚に襲われた。

    いくらなんでも、事件の時期と場所が私の休暇と旅先に合いすぎている。

    これでは本当に私が殺したと思われかねないでは無いか・・・・。

    最後まで読み終える前に顔を上げて原黒のいるブースを見上げた。

    ブースの中の原黒は陰湿な笑顔を私に向けていた。

    私は背筋に冷たいものを感じ予定より早くそれを切り上げようとした。

    その時、画面がスイッチされ、過去の私の笑顔の写真が画面いっぱいになった。

    音声は切られていた。

    そのまま時間切れで放送は終了してしまった。

    スタジオ内は騒然としていた。

    当然だ。

    メインキャスターが番組内で連続殺人を自供したのだから・・・。


    「は、原黒~~~!途中で切れたぞ!!どういう事なんだ~!!!」


    私はあらん限りの声を上げた。


    「ちょっと!!!それはこっちのセリフだよ!!法景さん、あんた人殺しなのかよ!!!」


    原黒は素知らぬ顔で怒鳴り返してきた。

    ・・・・私は原黒のさっきの笑顔の意味を理解した。アイツは私を嵌めたのだ。

    その証拠に番組終了と同時にスタジオ入り口から警官が入ってきた。

    同行を求めてきた警官の話では匿名の通報があったと云う事だった。


    取り調べで私は無実を主張したが、なんと、事件現場に私のタバコの吸殻、失くしたはずの財布等、私物が山程証拠として残っていたのだ。

    すぐさまDNA鑑定が行われ、言うまでも無くそれは一致した。

    私には全く身に覚えがないものばかりだったが、主張したアリバイまでも全く成立せず私は否認のママ10件の連続殺人犯として起訴された。






    「被告人は前へ。」


    裁判長の声が法定に響いた。


    「判決を言い渡します。まず、判決理由・・・。」


    私は戦慄した。理由から述べ始めると言う事は極刑であると言うことだ。


    「・・・・主文、被告人を死刑と処する。以上です。」


    私はその場で絶望し叫び続けた。


    「嘘だ~~~~~!!!わ、私はやってな~~~~~~~~~い!!!!」


    虚しく響き渡る声を傍聴席で原黒は笑いを堪えながら聞いていた。


    「・・・クククッ、これでおれは無罪放免だ・・・。」





    閑話休題




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