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    朱雀(今日子)の悲鳴が遠くなりそのまま意識を失った。


    次に意識を回復した時はその場が居間から客間へと移っていた。


    勿論、僕は雁字搦めに縄で括られ畳の上に転がっていた。


    そっと目を開けて取り敢えず状況の把握に務めたが、肝心の僕を妖刀で切りつけた犯人がその場に居ないようで謎は謎のまま。


    朱雀や物の怪達は危害を加えられた様子はない。


    側に怯えた表情で座っている朱雀にヒソヒソ話しかけてみた。


    ヒソヒソ・・・


    「おい、朱雀。一体何がどうなったんだ?」


    「あ、おにま!気がついたの?・・・良かった~。」


    「良かったじゃ無いぞ。一体何のための式神なんだよ!」


    「あ、うん・・・それは、その・・・ごめんなさい・・・」


    「・・まあいい。それで、今の状況を説明してくれ。」


    「う~んっと・・・・よく解らないの・・・」


    「おい、こら。なんだそれは。」


    「だって~、いきなりおにまが切りつけられて、そのまま倒れて・・・・」


    「だから、その後どうなったんだ?」


    「う~ん・・・どうなったって・・・そのままここに皆一緒に連れて来られて、そのままじっとしていろって・・・」


    「犯人はどこ行ったんだ?てか、犯人は誰なんだ?」


    「え~っと・・・犯人は・・・」



    朱雀が答える前にその犯人が現れた。



    「あら?気がついたの?・・・・エイっ!!」


    部屋に入ってきてすぐこちらに気がついた様で、全く躊躇無く再び僕を妖刀で切りつけた。


    が、僕だってそこら辺の似非霊能者じゃ無いので、二度も三度も不意討ちを食らうわけがなかった。


    部屋を転がりながら体中グルグル巻きされた縄を霊術で解き、妖刀の切っ先を避けながら体制を整えてその犯人に対峙した。


    その犯人とは・・・最初にこの一行をここに連れてきた猫娘だった。


    「もぅ!!!何よ!!妖刀って言うから一発で殺せると思ったのに、ちゃんと切っても切れないし、今度は全然当たらないし、どうなってるのよ~!」


    僕を殺せない事に苛立って猫娘が喚き散らした。


    「おい、ちょっと待て。一体全体お前が何故僕を殺そうとするんだ?」


    「何よ!!!忘れたの!!!八雲が私をこんな姿にして、あんな霊界バスの乗務員にしたんじゃない!!私は絶対あんたを許さないんだから~~~!!!」


    は~、そういう事ね・・・また爺ちゃん絡みか~・・・


    「あのな、僕は八雲じゃないよ。孫の純一郎なの。」


    「そんな嘘が通用するか~~!!!私が敵(かたき)を見間違う筈がない!!」


    「いや、違うってば、爺ちゃんはもう何年も前にそちらの世界に旅だったから・・・」


    「そ、そんな・・・・だって、八雲と同じ顔してるじゃないか!」


    「いや、そんな事はないよ。お爺ちゃんとはそんなに似てないから・・・長い年月が経ってるので、きっと記憶があやふやになってるんだよ。」


    「そ、そんな・・・・八雲が死んだ?・・・じゃあ、私はこの姿から戻れないのか?」


    「・・・・う~ん・・・爺ちゃんの呪術がどんなものかわからないので、どうしようもないなぁ~・・」


    「そんな・・・・そんな・・・」


    猫娘は手にした妖刀をその場に落として座り込んだ。


    ちょっと可哀相な気もしないではないが、今回の経緯を考えるとお爺ちゃんがこの物の怪を猫娘にして霊界バスに閉じ込めた意図が何と無く解る。


    多分、それ迄色々悪さを重ねてそれが故にそういった事態を招いたのであろう。


    なので、一切、温情をかける事はやめにした。


    猫娘が落とした妖刀を拾って用心しながら猫娘と対峙した。


    猫娘は僕の姿を虚ろな目で見ながらそれまでの疑問を口にした。



    「・・・なんで妖刀が効かないの?大体なんでその妖刀はそんなに重いの?」


    「う~んっと、なんで妖刀が効かないのかってのは、妖刀をお前が盗んだ事が分ったので(実は猫娘じゃなくて躾妖怪ガオが盗んだと思っていた事は内緒にしたw)式神に命じて妖刀の効力を防ぐ法衣の術を皆に掛けさせたんだ。危ないからね。で、なんで重いのかってのは、元々その妖刀は僕以外の者が持てないように持ち主の呪術が掛かってるんだ。これで良いかな?」


    「・・・お前はずっとここに居たはずなのにどうして私が盗んだ事がわかったんだ?」


    「あのね~!これでも僕は結構名前が売れた能力者なんだよ。式神や下僕の妖怪、物の怪が沢山いるの。で、報告が入って来るんだよ。」


    「・・・気付かなかった・・・・・なあ・・・ならば、私を助けてくれ。元の姿に戻してくれ。」


    「う~ん・・・・・それは出来ないな。今回の事からしてお前は生きてる(?)限り改心することもなく永遠に悪さを続けそうだからなぁ~」


    「・・・ならば・・・もういっその事私をあちらの世界に送ってくれ・・・これ以上この姿でいるのは我慢が出来ない・・・・」



    それくらいはやってあげても良いかな?と思っていた時、そうもいかない事になってしまった。



    「ごめんくださ~い、お世話になりました~」



    運転手のトトロが戻って来たのだ。



    「は~い・・・」



    猫娘に怯えていた朱雀が玄関へすっ飛んで行った。


    そしてそのトトロに怯える猫娘の姿に少々同情を覚えた。


    僕にはこの妖怪や式神たちの力関係が良く解らないw


    鬼子母神を悪さに使いこなす猫娘、その鬼子母神を取って喰う朱雀、しかし朱雀が怯える猫娘、なのにトトロには怯える猫娘、そのトトロのところへ平気に向かう朱雀・・・


    兎にも角にも、その場にいた物の怪達が、皆、猫バスへと戻って行って今回の騒動はやっと一段落だ。



    帰り際トトロが僕に丁寧なお詫びをしていった。



    「どうやら今回のバスの故障も猫娘のしわざだった様で大変ご迷惑をお掛けしました。戻りましたら猫娘はきつく叱りつけておきます。・・・・八雲様にもどうかよろしくお伝え下さい。」



    「はあ・・・解りました。取り敢えず、ここにはもう来ないで下さいね。w」



    「あ、はい・・・承知しました。申し訳ございませんでした。」



    と、いうことで一件落着。(爺ちゃんがあちらの世界に行ったことはあえて言わなかったw)



    「お~い、今日子、母さんが用意して行ったお好み焼き、まだあるかな~?」



    玄関から奥に居る朱雀に聞いた。



    「は~い、おにまが好きなだけ食べられるくらい残ってるよ~」



    元気に答える今日子の声が家中に響いた。











    閑話休題
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    こんなにハッキリした盗作も珍しい↓↓(中田ヤスタカ・・ライアーゲームとかの作曲者)








    物の怪に变化(へんげ)した老夫婦と鬼子母神に变化した若夫婦(の奥さんの方)が居間のテーブルを挟んで罵り合いを始め、その激しさが増し始めた時朱雀が僕にその理由を聞いて来たので掻い摘んで説明した。


    その説明で朱雀が鬼子母神に苛立ちを覚えたのは明らかだったが、しばらくは大人しく成り行きを見ているだけだった。


    その姿勢が変化したのは誘拐された子供が泣き始めた時だ。



    「うえ~ん、おうちに帰りたいよ~、ママ、パパ~、おじいちゃん、おばあちゃ~ん」



    既に死人となった身の上では如何ともし難い願いであるが、故に朱雀の怒りに火を付けてしまった。



    「キィ~~~~~~~~~~~!!!!」



    朱雀のけたたましい鳴き声が部屋中に響き渡る。


    それと共に部屋の温度が急上昇した。


    なんせ朱雀は元々火の鳥であるのだ。


    怒りの炎に包まれた朱雀(今日子)の姿にその場に居た一同(物の怪達)が瞬時に凍りついた(熱いのにw)


    よせばいいのに怯えてる癖して鬼子母神が余計な一言。



    「な、なんだ。私の邪魔をするのか?許さんぞ~!」



    朱雀は鬼子母神辺りが相手に出来るクラスの式神では無いのに、最悪な対応をしてしまった。



    「キィ~~~~~~~~~~~!!!!」



    問答無用、鬼子母神が悲鳴を上げる暇も無く朱雀に取って食われた。


    返す刀?で鬼子母神の旦那の物の怪もすぐさま餌食になってしまった。




    「おい、おい、朱雀、そこまで!・・・ちょっとやり過ぎだぞ・・・熱いし・・・鎮まれ!」



    「・・・・あ、つい・・・・」



    呆気にとられていた老夫婦の物の怪の元に子供が歩みよってめでたく?家族の再会となった。


    相変わらず家に帰りたいとグズってはいたが、祖父、祖母の元に来れた安心から泣くのはやめた様だ。


    堪忍袋の緒が切れた朱雀もその様子を見て少し落ち着きを取り戻した。



    「・・・ごめんなさい、我慢できなくなっちゃって、つい・・・」



    「・・・まあ、仕方ないか・・・しかし、これからは勝手な事はするんじゃないぞ。この事態がどうして引き起こされているのかまだ全然分かって無いんだから・・・」



    「は~い・・・」



    朱雀が落ち着きを取り戻し、部屋の温度も下がって一見元通り風だが物の怪たちも妖怪も今の自分達が置かれた状況の把握に必死になっている様子が手に取るように見て取れる。


    少々怯えている物の怪たちに内心吹き出しそうになりながら主に妖怪の様子を見ていた。


    しばらく素知らぬ顔で視線を合わさないよう辺りをキョロキョロ見回していた妖怪だが、そのうち何かを決心したのかこちらの様子を伺いながらゆっくり立ち上がった。



    「ちょっとバスの様子を見てきます。」



    まあ、放おっておいても良かったのだけど、そうは言っても「妖刀春雨」の行方も判って無いのでおいそれと逃すわけにはいかなかった。



    「・・・座れ!!」



    今までと打って変わった僕の厳しい口調にその場に居た全ての物の怪・妖怪・朱雀迄が声もなく俯いてしまった。


    勿論妖怪も例外でなく、歩き出そうとしていた姿勢のまま慌てて椅子に腰掛ける形になった。


    ちょっと脅かし過ぎたかと思った時、子供にはこの緊張感が耐えられなかった様で再び泣き出してしまった。


    老夫婦の物の怪は慌てふためきどうにか宥めようとしていたが、その甲斐もなく子供は更に激しく泣き始めた。


    その時、妖怪が耐え切れなくなったのか遂にその正体を現した。



    「ガオ~!!!泣き止まんか~!!!泣く子は取って喰うぞ~!ガオ~!」



    あらま?なんだ、滋賀のしつけ妖怪ガオじゃないか・・・


    この妖怪はほぼ人畜無害、ホントに子供を取って喰うわけじゃないし、その他に悪さをするわけでも無いので普段なら僕らは全く素知らぬ顔をする類の妖怪だ。


    古来から子供の躾に協力して親たちからその代価を貰い共存してきた。


    それが何故、今ここに居るんだ?


    ホントに今日のこの事態が何故引き起こされているのか、それさえ分かればチャッチャと方付けられるのに一番肝心のそこが解らない。


    などと考え込んでいる間にガオが子供を泣き止ませて、得意気にこちらを見ていた。


    得意気にこちらを見たって誉めてやる気もお駄賃やる気も無い。


    そう思っていたところ、こちらを見ていたガオの表情がいきなり強張った。


    あれ?なんだ?と思った瞬間、いきなり後ろから何者かが僕を妖刀で切りつけた。



    「きゃ~~~!!!」



    朱雀の悲鳴を聞きながらその場に僕は倒れこんだ。



    「うっ・・・・何が起きたんだ・・・・・朱雀・・・」



    意識が朦朧とする中で朱雀に問いかけた。


    それに対する朱雀の答えは聞こえなかった。







    続く






    ”あ、い~や、ほ、い~や、ハイサイおじさん♪ハイサイおじさん♪・・・”


    いきなり歌い踊り始めた老夫婦に一同が唖然となった。


    そのうち若夫婦連れの子供が手拍子を始め、そののち一緒に踊り始めた。


    何がなんだか解らないうちに賑やかな食卓といった雰囲気になった。


    調子に乗った老夫婦は無理やり皆を踊らせようと椅子から立ち上がらせて囃し立てた。


    あれよあれよと云う間に居間に居る全員が歌い踊るハメになったが、僕は勿論無視を決め込んだ。


    物の怪に付き合っていられるかって~の。


    妖怪1匹と朱雀も一緒になって踊っていたが、朱雀は一応老夫婦の行動に目を光らせている様だ。


    妖怪は取り敢えず皆の調子に合わせて踊っていたが、どことなく落ち着きがなく怪しい感じを醸し出していた。


    後ろで繰り広げられている喧騒をよそに僕は”妖刀春雨”が無くなった事について考えていた。


    まあ、犯人は間違いなく妖怪だ。


    母が出かける前に洗面所に行く振りをして盗んだんだろう。


    しかし、何故ここに妖刀春雨がある事を知っていたのか?


    また、それがある場所を何故しっていたのか?


    しかも妖刀春雨は僕と僕の式神の朱雀以外が持つと重さが何百キロにも感じられて殆ど誰も持てないはずなのに。


    その目的は一体なんだろう?


    ツラツラそんな事を考えながら踊る物の怪を眺めていた。


    なかなか終わらない物の怪の宴会?に痺れを切らして今日子(朱雀)が老夫婦に言った。



    「あの~、これ、何なんですか~?」


    老夫婦はそれに答えようとしなかったので今日子が少しムキになって声を荒らげ気味にもう一度聞いた。


    「スイマセ~ン、これ、一体何なんですか~?」


    すると、まただ・・面倒くさい事が始まった・・・老夫婦の顔が一瞬で引きつり、次第に変化が起こって・・・・


    たった今迄温和な感じの老夫婦が化け物に変身してしまった。



    「ぐわ~~~~~~~~!!!」


    急な変身と不気味な雄叫びに・・・・


    「きゃ~!」


    若夫婦と子供が逃げ惑う


    「あ~~~~もう!一体何なんだ!!」


    かなりウンザリしてきた僕が化け物向かって叫んだ。



    「返せ~~~~!孫を返せ~~~~!返せ~~~~!」



    あらま・・・誘拐されたのはこの老夫婦の孫だったのか?


    どうなることやら・・・ちょっと興味津々で眺めていると、若夫婦の嫁さんの方に変化が現れ始めた。


    「ぐあ~~~~~~~!!!!喧しい~~~~~!!!!この子はもう私のものじゃ~~~」


    あらら・・・コイツは鬼子母神じゃないか~!!!



    「おいおい、どうでもいいけどここで取って喰うとかやめてくれよ!」



    ちょっと横槍を入れてやった。



    「関係ないやつは引っ込んでおれ~~~~~!!!!」



    あらら・・・怒られちゃった・・・



    「ぐあ~~~~!!!返せ~~~~!」



    「うるさ~い、もう私のものじゃ~~~」





    ヒソヒソ・・・

    「おにま・・・これどうなってるの?」


    「うん?ああ、あの子は老夫婦の孫だったらしいね。その子をあの若夫婦が誘拐したみたいだな。」


    「えっ?そんな・・・・ひどい・・・・」


    「う~ん・・・それより、なんでここに集まったんだろ?どういう作為があるのか、そこが問題だな。」


    「作為?何それ?」


    「だってこんな偶然起こるはずが無いじゃないか。」


    「・・・そうだね・・・変だよね。」



    なんてヒソヒソ話している間も物の怪同士はやりあっていた。



    やりあってはいたけど、この物の怪同士は実体がある物の怪では無いので単にわ~わ~わめきあっていただけだが・・・


    実体がある方の物の怪(妖怪)はじっと成り行きを見ているだけだった。


    ・・・果たして妖怪の正体は何なのか?


    誘拐された子どもと、老夫婦、鬼子母神夫婦、はどうなるのか?


    盗まれた妖刀春雨はどのように関係してくるのか?


    ・・・まったく、今、思いつかないので・・・・




    続く・・・のか?
    少々大騒ぎして鬼ババアに消えてもらったけど、物の怪の不思議なところがこれなのだ。


    あれだけコワイだの何だの騒いでいたのに鬼ババアが消えた途端に何事も無かったかのように、皆元いた席に戻って素知らぬ顔でお好み焼きの続きを始めた。


    「あれ?おにま・・・みんな知らん振りだけど・・・」


    「うん・・・前一度経験したけど消えた物の怪は始めから居なかった事になるらしいんだ。」


    「何それ!私知らなかった~」


    しかし、ただ1匹の妖怪はその原則に反するらしい。


    キョロキョロあたりを見回し、最後にこちらをチラ見して様子を窺っている。


    こちらはそれに気付かない振りをしてこれ以上余計な事態を招かない様にすることにした。


    それにしてもこの組み合わせはちょっと変だな~。


    老夫婦は一見死人のカップルとして変では無さそうだが、いくら歳を取ってるからと言っても、一緒に死んじゃう確率は高くないし、若夫婦の方はそれに子供迄付いてる。


    なんともワケありのグループの様だが、その上何故に我が家に丸ごと入り込んでいるのかも何やら作為が感じられてあまり良い気がしない。


    結局鬼ババアもお爺ちゃん絡みだったし、なんかマジ嫌~な予感がしてきた。


    なんて事を考えながらお茶してたら、テーブルの下から服を引っ張られた。


    「んん?何だ?」


    下を向くと若夫婦の子供が僕を見上げていた。


    「お兄ちゃん、私おうちに帰りたい。」


    「ん?おうちに帰りたい?う~ん、それはお父さんとお母さんに言ってくれないかな?」


    「・・・・お父さん、お母さんじゃ無いもん。」


    「えっ?違うの?じゃあ、誰なんだい?」


    「・・・・知らないおじさんとおばさんだもん。」


    「はあ?どういう事・・・・?」


    「公園で遊んでたら一緒にお菓子食べようって・・・赤い車に乗ったの。」


    なんと・・・誘拐かよ・・・・


    「な、なに言ってるのゆうかちゃん、こっちいらっしゃい。」


    メチャ慌てて若夫婦のお母さん役?の女が女の子を抱き寄せて自分の膝の上に乗せ、それからはこちらを見ようともしなくなった。


    まあ、誘拐だとしてももう死んじゃっってるわけだし、慌ててどうにかしなくちゃいけないわけでもないので気付かない振りをしておいた。


    そこへパタパタと文鳥の姿をしたカラス天狗が僕の肩に飛んできた。


    「若様、大変でございます。」


    「ああん?どうしたんだ?」


    「一大事でございます。」


    「だから、どうしたんだ?」


    このカラスの一大事はあんまりあてにならない。


    「ホントに一大事なんでざいます。若様の妖刀春雨が消えたのでございます。」


    「な、何だと!!!だってあれは僕以外は持ち上げるのも一苦労する品物なんだぞ!」


    「はい、ですからホントに一大事なんでございます。」


    ホントだー、こりゃちょっと一大事かも知れない。


    あれは物の怪退治の奥の手だから無いと困るぞ。


    「どうしたの、おにま・・・」


    タダ事でない気配に朱雀もこちらにやって来た。


    「ああ、ちょっと困った事態になった。春雨が誰かに盗まれたらしい。」


    「えっ?・・・じゃあ、この物の怪たち、どうするの?」


    「う~ん・・・・なんとか能力だけで対応するしか無いな~」


    「こんなに一杯、一度に大丈夫なの?」


    「なに人事みたいな事言ってんだ。元はといえばお前が引き入れたんだろが!」


    「そ、それは・・・」


    「お前が半分くらいは担当な!」


    「え~~~~!そんなに~~~」


    「こら、最近お前怠けてるぞ。前は殆どお前がやってたじゃ無いか。」


    「だってぇ~・・・最近、オシャレとかしなくちゃいけないし、がっこ(大学)の勉強も大変なんだもん。」


    「うっさい!大体なんで僕の式神が大学なんか通って遊んでんだ。」


    「あ、遊んでなんか・・・」


    「嘘つけ!最近、合コンばっかり行って遊んでんの知ってるんだぞ!」


    「あ・・・それは・・・あの・・」


    なんてコソコソ小声で揉めてるといきなり老夫婦が立ち上がって踊り始めた。


    ”はいさっ、ほいさっ、どいさっ、こいさっ!”


    何じゃそりゃ????




    つづくっさ♪








    猫バスの運転手さんのトロール(別名トトロ)が(ちょっと脅かしたので)逃げるように立ち去った後、居間に戻る途中で妖怪とすれ違った。


    のほほんした感じの妖怪で何の悪意も感じなかったのでそのままやり過ごしたが、後でその時の事を後悔するとは思いもしなかった。


    兎に角、その時気になっていたのは剣呑な感じのおばさんだったのだ。


    居間に戻ると母が誰かと電話していた。


    その間も居間の物の怪の達は自分たちの状況も知らず、和気藹々楽しそうにしていた。


    勿論、一人を除いて。


    席に戻ってお茶してると電話を終えた母がちょっと慌てた感じで僕に耳打ちしてきた。


    「純ちゃん、寿子おばさんが入院したらしいの。私、ちょっと病院に行って来るね。後はお願いね。」


    う~ん・・・・お願いされても困るけど、まあ、この物の怪の中に居て何かあるといけないので、丁度良かったかも知れない。


    「あ、うん、分かった。ゆっくりしてきて良いよ。」


    「じゃ、お願いね・・・もう今日ちゃん泣かしちゃダメよ。」


    「あ、あれは・・・」


    言い訳する暇もなく・・・


    「皆さん、ごめんなさいね~、ちょっと急用が出来て出かけなくてはいけなくなりました。後の事は息子がお世話させて頂きますので、ごゆくっり寛いで修理が終わるの待っていて下さいね。」


    「あ、はい、ありがとうございます。お気になさらず・・・お気をつけて。」


    意外な事に母に声をかけたのはあの剣呑おばさんだった。


    「は~い、じゃあ、行ってきます。」


    朱雀(今日子)と母を見送って再び居間に戻る途中ある準備を朱雀にするよう伝えた。


    「えっ?・・・何すんの、おにま・・・」


    「まあ・・・もしもの時の備えだよ。さあ、早く。」


    「あ、うん・・・分かった。」


    朱雀が準備をしてる間に後々面倒臭い事になりそうなのであの剣呑おばさんをどうにかして置こう。


    で、居間に戻ってすぐ取り掛かった。


    「奥さん、すいませんが、どこかでお会いしたことがありますか?」


    意表を付いたのかちょっと面食らった感じでおばさんは言い澱んだ。


    「あ・・・それは・・・・」


    「いや・・・別に良いんですけど、何と無くこちらを見る感じがそんな感じでしたので・・・」


    「はあ・・・あの、坊っちゃん、お名前は純?さん?なんですか?」


    「あ、いえ、母はそう呼んでいましたが、純一郎と云います。それが何か?」


    「あ、その・・・以前、知って居た方とホントに良く似ていらっしゃるので・・・」


    「・・・そんなに似ているんですか?・・・その方のお名前はなんとおっしゃるんですか?」


    「あ、はい・・・八雲さんと言います。」


    「えっ?・・・・小泉八雲ですか?」


    「あ、はい・・・ご存知なんですか?」


    「・・・・うんと・・・僕の祖父です。」


    「えっ?・・・いや・・・そんな筈は・・・だってお会いしたのはほんの2年ほど前ですから・・・」


    2年・・・・僕とそっくりな感じだった頃のおじいちゃんと2年前って事は、このおばさん死んでから50年以上経ってるって事か~・・・


    「え~っと・・・じゃあ、きっと同姓同名の他人の空似なのかも知れませんね。」


    そんな事、どんだけ凄い確率なんだって。


    「はあ・・・今日丁度その方とのお約束の日で、お約束の場所に向かう途中だったので・・・坊っちゃんを始め見た時あまりに似てたので、迎えにきてくれたのかと思ったのに素知らぬ顔だったので・・・ちょっと怒った顔していたかも知れません・・・坊っちゃんごめんなさいね。」


    おやおや~・・・爺ちゃん、何か約束していたのか~・・・何だろ?僕と同じくらいの年頃でこのおばさんと逢引って事では無いだろうし・・・


    「そうですか・・・どんなお約束されていたのですか?差支えが無ければ教えて貰えませんか?」


    「・・・え~・・・差支えは無いんですけど、そんなに大したお約束じゃ無いんですよ。」


    「・・・構いませんよ、バスのが終わるまでしばらく時間がありそうなので宜しければ。」


    「はあ・・・では・・・丁度2年前の今日ちょっとご相談があったものである場所で八雲さんとお会いしまして、その時にでは2年後にお渡ししましょうってお約束頂いたんです。」


    「・・・はあ、何を貰うお約束されたんですか?」


    「はい、その・・・・」


    おや?何だ?ちょっと妖気が強くなってる・・・・


    「言いにくい事でしたら、無理に言わなくても良いですよ。」


    「いえ・・・その・・・・ぐぁ~~~~~!!!!」



    あ、やっぱり・・・普通じゃないと思ったんだ・・・鬼ババアだった・・


    「きゃ~~~~!!!」


    「うわあ~~~~~」


    テーブルの客たちが悲鳴を上げながら逃げ惑った。(けど、アンタ達だって仲間なんだけどw)


    鬼ババアくらいじゃこれまでの経験で驚きもしないので、平然と問いかけた。


    「まあ、そんなに興奮しないで、落ち着いて話しましょう。」


    ヒソヒソ・・・(僕の後ろに隠れた物の怪達が・・・)


    「鬼よ、鬼だわ。」


    「ああ、ど、ど、どうしましょう~」


    「・・・む、息子さんが何とかして下さるみたいなんで静かにしていましょう。」


    「そ、そ、そうですね・・・くわばら、くわばら・・・」



    ふん、勝手な事言ってら!


    「うお~~~~!約束じゃ~~~~!お主の肝を食わせろ~!」


    「う~ん・・・約束って、良く似た他人の空似の人との約束でしょ?僕は関係無いじゃんか。」


    「うお~~~~~~!!!やかまし~~~ぃ~~~。そんな事はもうどうでもいいんじゃ。その顔の人間の肝を食えればいいんじゃ~!」


    「それは、ダメでしょ?・・・ちゃんと約束は守らないと。ね。」



    「う、うお~~~~~~!!!!約束を守って2年待ったんじゃ~~~!ほれ!!ここに二年後に肝を差し上げます。って書いてあるじゃろう~~~~!!!」


    「どれどれ・・・」


    鬼ババアが差し出した便箋を受け取ったら、確かにおじいちゃんの字で ”二年後に肝を差し上げます”って書いてある。


    爺ちゃん、何考えてたんだろ?


    う~ん・・・困ったぞ、どうしたもんかな~・・・と、悩んでいたところに朱雀が準備を終えて戻って来た。


    「な、何?なんの騒ぎなの?おにま・・・」


    「う~ん・・・まあ・・・ちょっとね・・・あ、良いこと思いついた。朱雀、ちょっとペン貸して。」


    朱雀がいつも持ち歩いている魔除けの筆ペンを受け取って、チョチョイのチョイっと。


    「あ、これ、二年後じゃ無いじゃん。おばさん、これじゃ肝は食わしてあげれないよ。」


    「な、何を言ってるんじゃ~!確かに二年後にって書いてあるじゃろうが~~~!」


    「ううん。違うよ、ほら!!」


    二年後 って処に棒を1本足してやったもん。


    「何がじゃ~~~、ふん・・・・うっ!!!いや・・・確かに二年後って・・・」


    「ダメだよー、嘘はいけないよ~。・・・おばさん、わかった、僕がその約束守ってあげるよ。今度はちゃんと千年後に来るんだよ。ね。」


    「う・・・いや・・・その・・・しかし・・・・・」


    「あ、そ、じゃあ、その約束は反故にする?」


    「あ、いや・・・わ、分った。ちゃんと約束は守るから・・・ちゃんと肝をくれるんだね~?」


    「ああ・・・僕も男だ。嘘なんか付かないよ!!」


    「わかった~~~~!!!じゃあ、千年後にまた会おうぞ~~~~!!!」



    声を響かせながら鬼ババアは露と消えた・・・





    千年後ねぇ~・・・・まあ知ったこっちゃないわな。





    続く



    夏休み期間のゼミの合宿から帰って来ると、家に通じる脇道に猫バスが止まっていた。


    なんとなく嫌な感じがしたが、まあ猫バスなんてしょっちゅう見かけるので(普通の人には見えないよ)あまり気にせず通り過ぎたけど、玄関開けたらサトーのご飯・・・じゃ無くて、妖気が家中に満ちていた。


    案の定、居間に入るとそこら中に物の怪がワンサカって感じで、朱雀を問い詰めるとネコ娘が怖くて頼まれるがままに家に入れてしまったらしい。



    「純ちゃん、今日ちゃん、オヤツの時間よ~」


    居間から母の声がした。


    20歳を過ぎた息子と娘にオヤツの時間も無いもんだが、母もやっぱりちょっと変わっていて普通の家庭じゃどうのこうのと言っても「そんなの関係ないわよ」の一言で片付けられる。


    親父は親父で変わりもんで未だにトレジャーハンターを気取ってアチコチ旅して年中家を空けている。


    あ、話が横道に逸れたが・・・・兎に角、我が家は普通の家じゃ無いって事。


    「は~い、今行く~」


    朱雀が僕に叱られるのから開放されようとこれ幸いに居間へすっ飛んで行った。


    仕方なしに僕も居間へと向かったが正直気が重い。


    「さあさあ、純ちゃんも早く座って召し上がれ。」


    母さん特製のお好み焼きだ。


    これまたおやつにお好み焼き?と思われるだろうが、我が家では普通の事なのだ。


    むっつりと食べてると物の怪の一人が声を掛けてきた。


    「坊っちゃん、幸せだね~、優しいお母さんとかわいい妹さんで。」


    「はあ・・・・」


    「もう、純ちゃんたら!・・ごめんなさいね~愛想なくて。」


    「イヤイヤ・・・この年頃の男の子はそんなもんですよ。」


    普通に話してるけどホントはそいつ物の怪なんだよ!って言ってやりたい処だが、実は物の怪って本人はまだ生きているつもり(死んでる事に気がついていない)なんだよな~。


    なので、死んでる事を理解させるのに一苦労するんだ。


    で、面倒くさいからほっとく事にした。


    素知らぬ顔で観察してみたが、人の良さそうな老夫婦(チョコチョコ声をかけて来てるばーさん夫婦)、大人しそうな若夫婦とその子供、ちょっと根暗っポイ中年オヤジと一人ちょっと異質な感じの剣呑そうなおばさんの6人と完全な妖怪が1匹で全部のようだ。


    厄介そうなのは、剣呑なおばさんと妖怪だけであとはその気になればさっさとあの世に送れるけど、猫バスの乗客を勝手にあの世に送ると後が面倒そうなのでやめといた方がいいだろうなぁ~。


    なんて事を考えながらお好み焼きを平らげていると、妖怪が徐ろに立ち上がったのでちょっと警戒。


    「スイマセン、ちょっと洗面所を・・・・」


    「あ、はい、はい、この廊下を行って突き当りを右に行ったとこです。」


    う~ん・・・この妖怪、母にはどんな感じに見えてるんだろ。


    ヒソヒソ・・・

    「おい、朱雀。」


    「うん?な~に、おにま。」


    「この連中、いつまで居るんだ?」


    「え~っと・・・・猫バスの修理が終わるまで。」


    「・・・だから~、それがいつまでかって聞いてるんだよ。」


    「そんな事私に聞かれたって・・・・」


    「なんだ、どのくらい掛かるかくらい聞いてないのか?」


    「だって~・・・・猫となんか少しでも一緒に居たくないんだもん・・・」


    「チッ、使えねー奴だな~!」


    「ひ、ひどい~~~、あんまり苛めると泣いちゃうから~」


    「ふん!勝手に泣いてろ!」


    「・・・・・ぅ・・・・え~~~ん・・・」


    あ、ホントに泣きやがった・・・



    「ちょっと、純ちゃん、今日ちゃんになにしたの!」


    「えっ?いや、何もしてないよ!」


    「うえ~ん・・・・おにまが苛めるの~・・・え~ん・・・」


    おい、こら!


    「純ちゃん!」


    「あ、いや・・・」



    あ~~~!この!泣きながら舌出してやがる!嘘泣きだ!



    「まあ、まあ、兄妹喧嘩なんて仲の良い証拠ですよ、奥さん。」


    「はあ・・・まあ、確かに喧嘩しながらもいつも一緒に居るんですよ。」


    とかワイワイしてる時も剣呑ばーさんはむっつり、何故かこちらを時々睨む・・・


    ちょっと気掛かりな感じで問い詰めてみようかな、と思っていたところに玄関から声がした。



    「スイマセ~ン・・・・」


    「あら、運転手さんかしら?・・・は~い・・・」


    母が腰をあげようとしたのを制して僕が応対に出る事にした。


    「ああ、いい。僕が行く。」


    「あら、ありがと、じゃあ、お願いね。私は残ってる分焼き増ししなくちゃ。」



    まあ、ちょっと面倒くさかったが思ったより早く済んだな、と思いながら玄関へ応対に出た。


    しかし、そこには聞いていたネコ娘では無くトロール(まんがの世界じゃトトロと云うらしい)が立っていた。


    ホントの運転手はトロールでネコ娘は車掌さんってとこなのかな。


    さすがにあの世と繋がってるバスには乗ったことが無いので詳しくは知らなかったのだ。


    兎にも角にもこの面倒くさい客達を送り出せる事に安堵していたのだが、そう甘くは無かった。



    「はい、お待たせしました」


    「どうも、お世話になってます。」


    「はあ、修理は終わられたんですか?」


    「・・・それが、ちょっとマズイ事態になりまして・・・・」


    「・・・どういう事ですか?」


    「完全に壊れてしまいまして、代替車が来るまでもう少しお願いしたいと・・・お願いに伺いました。」


    「はあ?嘘でしょ?猫バスでも壊れるんですか?」


    あ、しまった!


    「えっ?・・・猫バス・・・見えるんですか?」


    あちゃ~~・・・・


    「ああ・・・・はいまあ・・・・」


    「それなら話は早い。ひとつ、乗客をよろしくお願いします。」


    「う~~~ん・・・あの・・・面倒くさくなったら、あの世に送っちゃいますけどそれでも良いですか?」


    あ、また、口が滑った・・・・



    「えっ?・・・そんな事までお出来になられるんですか?」


    ・・・あああ・・・隠すの面倒くさいからもういいや・・・


    「あ、はい・・・なんでしたトロールさんも送って差し上げましょうか?」


    「イヤイヤ・・・ご勘弁下さい。・・・そ、それではひとつよろしくお願いします。」


    あらあら・・・冗談なのに逃げちゃった・・・・


    さてさて、どうしたもんやら・・・・





    閑話休題







    僕は、小泉純一郎。

    有名な元総理と同姓同名・・・

    でも、全く赤の他人。


    僕のおじいちゃんは、小泉八雲・・本名(旧姓)ラフカディオ・ハーン。


    おじいちゃんは怪談話ばかり書いていた小説家だ。

    でも、でも、おじいちゃんは作り話を書いていたのではない。

    おじいちゃんの実体験を書いていたのだ。

    そう・・・おじいちゃんには全て見えていたのだ。


    僕もその血を受け継いでいて、色んなものが見えちゃうんだよなぁ~・・・

    この血は隔世遺伝らしく、僕の父にはその能力が無い。

    というか、その存在すら知らない・・・らしい。

    おじいちゃんの話によると、能力がある者にだけきちんとした話をするらしい。


    僕の能力をおじいちゃんが見つけたのは、妹の今日子が病気で死にそうになっ

    ていたときに僕がそばにいた死神を追い払おうとした時だ。

    その場にいた父や母は僕が何をしているのか分からず、ただ、妹の死に直面し

    て癇癪を起こしていると思っていたみたい。

    ただ、おじいちゃんにも死神が見えていたので、僕の行動はおじちゃんにはハ

    ッキリと僕の能力を確信させたものになったようだ。

    残念ながら、死神を追い払うことはおじいちゃんにも出来ないらしく妹は死ん

    でしまった。

    ただ、余りにも僕が悲しむのでおじいちゃんはそれを見かねて僕の式神になる

    はずだった妖魔を妹のなかに入らせて妹を・・・妹の体だけだが・・・生き返

    らせた。


    代々、式神とはコノ血を受け継ぐものの伴侶、または執事として生涯仕えるも

    のらしい・・

    だから今、今日子に入っている妖魔は、本当は僕の奥さんになるはずだった・・・

    みたい。

    そのせいか・・・・すっごいヤキモチ焼きだ。

    時々、手に負えない・・・・。


    しかし・・・・まあ・・・こいつのおかげで父や母は妹を失う悲しみを味合わ

    ずに済んだし、僕も姿形だけでも妹と過ごすことが出来ているので文句は言え

    ない。

    その上今日子に入っている式神は朱雀と云って結構有名な守り神らしく、召喚

    したおじいちゃんも羨ましがっていた。



    まあ、そんなこんなで・・・・おじいいちゃんが亡くなった後、色んなものが

    見える能力を引き継いだ僕にはおじいちゃんの知り合いを通して様々な依頼が

    来るようになった。

    迷惑な話だ。

    しかも・・・来た依頼を結構サクサク解決してしまったので、その世界でそこ

    そこ有名になってしまった。

    そうなるともっと依頼が来るようになり・・・・悪循環だ・・・・・

    父や母を心配させないように僕はこの能力を秘密にしているので、色んな出来

    事を隠すのも一苦労なんだ。

    そんな苦労も知らないで、今日子(朱雀)のバカがやってくれちゃった。

    それは或る日、僕が夏休みのゼミ合宿から帰った時の事・・・・






    僕の家は通りから少し奥まった場所にある。

    勿論、おじいちゃんがその能力で選んだ場所なので普通は物の怪の類いは近寄

    れない。

    特に最近は僕がカラス天狗とか色々な妖怪を下僕にしたものだからちょっとや

    そっとでは物の怪は玄関先すら入れない感じになっている。

    だがその日合宿から戻って家の玄関に入った途端に家の中の様子がおかしいのに気がついた。


    いや・・・その前に、家に通じる脇道に猫バスが止まっていたのでちょっと変だなとは思っていたんだけど・・・



    「ただいま・・・」


    「あら?おかえりなさ~い、純ちゃん暑かったでしょ?ささ、奥で冷たいお茶でも飲みなさいな・・・・」


    いつもの様に何も知らない母がニコニコと出迎えてくれた。


    「あれ?今日子は?」


    いつもなら何日も留守にした後帰ったら今日子が一番にすっ飛んで来るはずなのに・・・・


    「あ、今日ちゃんはお客さんのお相手をしてるのよ。」


    「お客さん?誰か来てるんだ。」


    「そうなの、ちょっと近くで乗ってたバスが故障して修理するまでお客さんをしばらく休ませてください、って運転手さんがお願いにいらしてね。」

    「ふ~ん・・・」


    バスねぇ~・・・・脇道にあった猫バスがそうだとしたら、普通の客じゃ無いよなぁ~・・・・



    取り敢えず、喉を潤しにキッチンへ行って冷たい烏龍茶をタップリ流し込んで徐ろに居間へ行ってみると・・・案の定だ。


    「あ、こんにちは。こちらのお坊っちゃんですか~?」


    「あ、こんにちは。どうも、お邪魔してます。」


    「こんにちは~。休ませて頂いて助かってます。」


    部屋に入った途端にあちこちから声が掛かった。


    「あ、はい・・・どうも・・・」


    とてもじゃないけど機嫌よく挨拶を返す気分になれない相手ばかりだった。


    そばに居た今日子がこちらをチラ見してすぐに視線を逸らしたのは、僕が思いっ切り睨んでやったからだ。


    「今日子、ちょっとこっちに・・・・」


    ちょっとだけ怒気を込めた声で今日子を自分の部屋に呼んだ。



    部屋に入ってきた今日子は俯いたまま黙っている。

    叱られに来た子供の様に・・・

    当然だ、怒るに決まってる。


    「今日子、どういう事なんだ。ちゃんと説明してもらおうか。」


    「ゴメンナサイ・・・だって・・・仕方無かったの・・・」


    「何が仕方ないんだ。あんなもの家にウジャウジャ入れてどうすんだよ!」


    「だって・・・・どうしてもって、運転手さんが・・・」


    「ばか!!運転手さんがって、あんなもん乗せてるバスの運転手が普通じゃないのはわかってるだろ?」


    「それは・・・・だって・・・・」


    「だって、だって、って、何なんだ。」


    「・・・・だって、運転手さん、ネコ娘だったんだもん。」


    「猫娘が何だってんだ!・・・こら!!そこに隠れてるカラス天狗!!お前も居たんだろ!」


    「・・・・はい・・・しかし、若様・・・ワシも朱雀も・・元は鳥でして・・猫はどうも・・・苦手なんですよ~」


    いつもの威勢の良さはどこかに飛んで行ったらしい。


    「あ~もう!!合宿から帰って来たばかりでクタクタなのに、あんなもん相手にしたくないぞ!お前たちで何とかしろよ!」


    「え~~~!おにま、そんな事言わないでよ~」


    「若様、何卒お許しを!これこの通り!!」


    胸をそってくちばしを空に向かって立てながらカラス天狗が頼み込んで・・・って・・


    「こら~!!!それがものを頼む態度か!!」



    ””ばし!!!!””



    思い切り引っ叩いてやった。



    「あいや~~~!いや、あの、天狗の精一杯のお詫びの態度なんです~~~」


    ふ~ん・・・そうなんだ、天狗ってこんな時も態度がでかいんだ。


    まあ・・・そんな事はおいて置くとして・・・


    どうしたもんかな~、あの物の怪の集団・・・・・




    つづく
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