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    時の片~かけら  22 (最終回)

     06, 2012 07:00
    2042年7月29日




    幸治はなんとか生きながらえたものの、誕生日前から意識を失ってICUで治療を受けていた。


    奇跡的に意識を取り戻したのは誕生日から1週間が過ぎた29日の昼過ぎだった。


    取り囲んだ妻子に日付を確かめた幸治は全ての力を振り絞り起き上がった。



    行かなければ・・・・幸治の命を繋ぎ止めていたのはその一念だけだった。



    「父さん!何をするんだ!動いちゃいけない!」


    「やめて・・・お父さん・・・・お願い・・・」


    子供たちの言葉に一瞬戸惑いの表情を浮かべたが、それでも起き上がる事をやめる訳にはいかない。


    「お父さん・・・・」


    娘の言葉を妻が遮った。


    「行かせてあげて!・・・あなた・・・頑張って、行ってあげて・・・助けなくっちゃ・・・でしょ。」


    妻の頬を涙の雫が傳う。


    「済まない・・・・ありがとう・・・・」


    精一杯の感謝の言葉を妻に掛けて幸治は眼鏡橋に向かった。



    夕暮れの眼鏡橋に早苗がいる保証は無かった。

    ましてや、再会の約束の日を1週間も過ぎているのだから・・・



    しかし、幸治は早苗がそこにいることを疑わなかった。

    きっと幸治を待ち続けている筈だという確信があった。



    幸治はやっとの思いで眼鏡橋の袂に辿り着いた。



    眼鏡橋の中央に佇む早苗を夏の夕日が照らしていた。


    「早苗さん・・・・・」


    振り向く早苗の顔に驚きの表情が浮かんだ。


    「幸治君?・・・」


    「ああ・・・分るかい?・・・ごめんよ・・・すっかり遅くなってしまって・・・・」


    「当たり前じゃない・・・・」



    早苗が幸治に抱きつきむせび泣いた。



    「泣かないで早苗さん・・・・やっと会えたんだ。笑ってよ・・・」


    「だって・・・・だって・・・まさか、来てくれるなんて・・・・」


    「何を言ってるんだよ・・・・約束したじゃないか・・・早苗さんは僕が守るって・・・」


    「だって・・・40年も過ぎてるんだもん・・・・」


    「そうだね・・・びっくりしちゃっただろうね・・・ごめんよ・・・傍にいてやれなくて・・・」


    「ううん・・・来てくれただけで十分よ・・・一目会えただけで・・・もう思い残すことは無いわ。」


    「何を言ってるんだ・・・そんな事言っちゃダメだよ。早苗さんはこれから幸せにならなくっちゃ・・・ここに・・・う・・・」


    懐に入れた薬を取り出そうとした瞬間、心不全が幸治を襲い・・・・それを阻んだ。


    「幸治君!幸治君!しっかりして!ダメ・・・ダメ・・・私を一人にしないで・・・」


    溢れる涙を拭おうともせず早苗は幸治を抱きしめた。





    早苗の懐に抱かれながら幸治の意識は薄れ始めた。

    既に言葉を発する体力も無くなった。

    消えゆく意識の中で幸治は絶望した。

    遂に早苗を守ってやる事が出来なかった・・・・






    「幸治君・・・・幸治君・・・・愛してる・・・」





    息を引き取る寸前、幸治が微かに微笑んだ・・・・








    幸治の亡骸を抱きしめ泣き崩れる早苗を、七色の光が包み出し・・・・・静かに早苗は姿を消した。






    続く




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    こちらより




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    COMMENT - 4

    半世紀少年  2012, 09. 06 [Thu] 17:42

    続く…のかな?(笑)

    僕だったら…ということで失礼をお許しください
    僕だったら、せっかく長崎のふたつの災害を取り上げているので
    タイプワープする理由を大災害が起きた時に
    災害を起こす地球のパワーが脳の眠っていた部分を覚醒させ
    人間の生存本能が目覚め、身を守るため時間を飛ぶ
    男の子は、この大災害を予知する力(生まれる時に大災害の地球のパワーを感じている)を持ち、父親が亡くなる時も父親が予知するのではなく幸冶が災害、父親の死を予知し、それが現実化したことによるショックによって記憶を無くす
    この二人は災害という地球の底知れぬ力によって翻弄される
    眼鏡橋はふたつのアーチが組み合わさって初めて意味をなす橋です
    もっと二人の出あう意味と眼鏡橋の関係が出せたらと思います
    人間が生まれる時には、月の引力…潮の満ち引きに関係すると言われています
    なら、幸治くんが生まれる時に大水害があったというのは何かの因縁を感じます
    あと、タイムスリップものの時代のギャップとか
    早苗さんの風貌などもう少し見たかったです
    すいません、勝手な事ばかり書いてしまって
    もしご機嫌を悪くされましたら、どうぞ記事を削除してくださいね
    次の作品、楽しみにしています
    がんばってください  では半世紀少年でした

    Edit | Reply | 

    紫水  2012, 09. 06 [Thu] 19:52

    Re: 続く…のかな?(笑)

    こんばんは。

    ご丁寧なご意見、ありがとうございます。

    最初の構想では、もっと色んな要素を入れていましたが、なにせ1/10に縮めたもので(*゚▽゚*)

    ストーリーをこなすので精一杯でした。(笑)

    今度から身の丈にあった長さの物語でキチンと構想を練って書くようにします
    (*^。^*)

    最終回までお付き合い頂きありがとうございました。

    これからもよろしくお願いします。
    m(_ _)m

    Edit | Reply | 

    小町  2012, 09. 07 [Fri] 06:32

    時はww

    残酷(@@)w


    感動的なシーンwだけどぃ 
    余りにもww  あんまりだぁーーーっw

    幸治君は亡くなってしまうけど
    それでも 自分の人生を歩んで 子孫もありw
    普通の時の流れで ww 満足? な最後・・


    だけどぃ 早苗さんはww ・・・・(T0T)w


    ・・・悲しっ  ww

    早苗さんって さぃ ・・もぅ 既に 人間ではないょねぃ・・・
    普通の感情が あれども 

    自分の時が 止まった状態でww
    次元?をさ迷う・・・ んでまかしょw


    www 



    でも
    つづくww だから♪ww

    ここで 終わり・・ではなぃ 

    また 別な 時が 流れるんだよねぃ  

    早苗さんの時間の 流れ・・ だったら  ぃぃなぁ(@@)~www


    またの 再会(物語)  楽しみに してます♪







    Edit | Reply | 

    紫水  2012, 09. 08 [Sat] 01:48

    Re: 時はww

    こんにちは。

    残酷非道な悪魔にもちょっとだけ良心があるので(笑)

    エピローグを用意しました。

    お気に召して頂ければいいのですが・・・

    二人のその後に思いを馳せて下さいネ(*^。^*)

    Edit | Reply | 

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