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    時の片~かけら  エピローグ B

     07, 2012 07:00
    自らの懐で事切れた幸治を抱きしめながら早苗は三度のタイムスリップを悟っていた。

    七色の光に包まれた体が消え行くのを放心して受け入れていた。

    早苗には最早生きる希望も目的も無くただ幸治の亡骸を抱きしめている感覚の消失に絶望するだけであった。



    再び真夏の太陽の下に晒された早苗が目にしたのは・・・・

    幼い頃から見続けた夢の中の青年が少々驚きの眼差しで自分を見下ろしている姿だった。


    「おわ~!・・・驚いたな~~~!まさか本当に・・・・」


    その青年が驚きの声を上げた。


    「幸治・・・君・・・?」


    早苗が混乱の中で問いかける。


    「イヤ・・・残念ながらご先祖様の幸治さんじゃないです。スイマセン。」


    微笑みながら早苗に答えた。


    「誰なの?・・・」


    「え~~~~と・・・この手紙によると・・・早苗さん?ですよね?」


    「あ、はい・・・・」


    「僕は・・・ご先祖様の幸治さんの・・・え~とかなり孫の孫の孫・・・ハハハ・・榊幸太郎といいます。」


    「えっ?・・・一体・・・何年が過ぎて・・・・」


    「え~っと、早苗さんが最後にいた年は2042年ですよね?・・・ふえ~大昔だ・・」


    「あ、はい・・・大昔って・・・そんなに・・・」


    「はい、今は2402年です。」


    「えっ?!・・・400年近くも・・・・・」


    「そう云う事になりますね。・・・しかし、ご先祖様・・すごいなぁ~計算通りなんだもんなぁ~」


    「ご先祖様って・・・幸治君の事なの?」


    「ええ・・・そうです。これ、あなたに宛てた手紙です。」


    青年から古びた便箋を受け取り読み始めた早苗の頬に涙が傳う。




    早苗さんへ


    この手紙を読んでいるということは残念ながら僕は早苗さんをこの時代で救えなかった事になります。

    必ず守ると云う約束を果たせなくて本当にごめん。

    今年の初めに僕は病気になってしまい、余命3ヶ月と宣告されてしまいました。

    早苗さんにもう一目だけでも会いたい一心で頑張ってみたけれど・・・

    どうやら神様は意地悪ですねぇ・・・

    会えそうもありません・・・・

    それだけが・・・イヤ、早苗さんとの約束を守れなかった事が心残りです。

    しかし、早苗さん・・・どうか元気を出してこれからの人生を幸せに生きて行って下さい。

    この時代では果たせなかった約束をこの手紙を持つ人に託しました。

    早苗さんを元の時代に戻す薬を作り上げたのです。

    初めはタイムスリップを止めるだけの薬でしたが、研究を重ねた結果一度だけ逆スリップさせてその後活動を停止させる効果を持たせる事が出来ました。

    その薬を飲んで早苗さんは元いた時代に戻って自分の人生をやり直して下さい。

    この薬が完成しただけでも僕の人生も捨てたもんじゃ無かった(*^。^*)

    どうか悲しまないで。

    僕は結構幸せな人生を送りましたから・・・

    本当ですよ・・・・

    早苗さんを忘れた訳では無かったけれど、次に会えるのが60歳だと分かって、僕はその運命を受け入れ・・・・教授に紹介された女性と結婚して子供も2人授かりました。

    とても出来た女性で明るく朗らかな幸せな家庭を持つ事が出来ました。

    だから、早苗さんもきっと幸せな人生を送って下さい。

    それが僕の最後の願いです。

    早苗さん・・・・心から愛しています。どうかお幸せに・・・


    幸治より




    読み終えた早苗に幸太郎が薬を差し出した。


    「ご先祖様・・・幸治さんが作った薬です。これで帰れますよ・・・・」


    「ありがとう・・・・」


    受け取った薬瓶を開けて早苗は何の迷いもなく飲み干した。

    次の瞬間には早苗の体は七色の光に包まれていた。


    「早苗さん・・・お気を付けて。お幸せに。」


    幸太郎の笑顔が早苗を見送った。




    気がつくと私は長崎駅の出口に居た。

    ふふふ・・・

    幸治君の薬は失敗だ。

    だってほんの少し時間がズレてる。


    私はてっきり眼鏡橋に戻るのかと思っていたのだ。

    まだあの水害の時間まで時間があった。

    あの時と同じように時間を潰して雨が降り始めた頃、タクシーを拾った。


    「眼鏡橋まで行って下さい。」


    「はい・・・イヤ~結構すごい雨になって来ましたね~。」


    「そうですね・・・運転手さんも私を下ろしたら気を付けて下さいネ・・」


    「え~・・・あ、はい・・・ありがとうございます。じゃあ、出来るだけ急ぎますね。」


    そう言ったがやはりあの日と同じく雨の渋滞で、眼鏡橋に着いた時は最早洪水の状態だった。


    「お嬢さん、お気を付けて下さいネ~。」


    「ありがとうございます。運転手さんもお気を付けて。」



    タクシーを降りた早苗は一目散に眼鏡橋を目指した。

    豪雨で既に水かさを増し中島川は氾濫していた。





    早苗の思いは一つ・・・・幸治君に会いたい・・・・


    氾濫している眼鏡橋を渡り始めた。



    「渡らなくちゃ・・・」



    そこにある幸治との、時のかけらを拾うために・・・・




    早苗が眼鏡橋の中心に着いたとき眼鏡橋は崩壊した。

    早苗の姿はそこには無かった。






    時の片~かけら 後記

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    こちらより




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