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    三茶狼の誕生日

     23, 2012 19:00


    私はみんなから、三茶狼と呼ばれ恐れ…忌み嫌われている。

    こら!

    三茶楼ではない!

    中華屋じゃない!



    この道では、知る人ぞ知る偉大な…伝説的人物なのだ。


    しかし、そんな私も毎年この時期になると気が滅入る。

    どんなに人に恐れられ…私が歩くと川が割れたように人並みが一本の通り道を作る。

    私が睨むだけで、人々は縮み上がり、私が怒鳴ると人々は地べたにひれ伏してしまう。

    そんな私でも…

    いや、そんな私だからこそ、毎年の誕生日を傍で祝ってくれる人が誰ひとりいない。

    これは、結構キツいもんだ。

    正月や盆、クリスマスなんかは、独りきりだって大した事ない。

    そこら中でお祝いだらけだから…。

    だが、誕生日は違う。

    誰ひとり私の誕生日なぞ知らぬから、どんなに私を恐れていても私を祝ってはくれない。

    誕生日にケーキなぞ食べたのは、ガキの頃以来…

    ふん!

    また今年も、酒でも引っ掛けてさっさと寝ちまうしかねぇな…。


    まあ土地がら飲み屋は溢れ返ってるから苦労しない。


    (チャリン…バタン)


    「おー!久しぶりですね~ダンナ!」


    「ちっ!この店は客にいらっしゃいの一言もねぇのか!」


    「あはは…いらっしゃーい…なんにしやすか?」


    「バーボンだ」


    「はい…。」


    「どうだ景気は…。」


    「ええ…ダンナのおかげでボチボチです。」


    「ダンナはやめろ!」


    「あ、すいません!ちょっと癖で…藤田社長のおかげでボチボチ儲かってます!」


    「そうか、まあ、良かったな…。」


    「ところで、暗い顔してますがなんかあったんですか?」


    「…いや、別になんでもない。」


    その時、店のドアが開き誰か入って来たようだった。

    私はいつもなら、決して注意を怠らない。

    しかし、今日はやっぱりどうかしていた…。

    その人物が背後に近づくまで全く気がつかなかった。


    「ふじたー!誕生日おめでとうー!」


    ん?私の誕生日を祝ってくれる…しかも女の声だ。

    私はゆっくり振り返った。



    《ブス!》



    鈍い小さな音が腹部からした…。


    この女は…

    この間消した商売敵の奥菜の女…。


    「ふじた…いい誕生日だろ。あたしが祝ってやるよ。
    ハッピーバースデートゥユー…線香もあげてやる…ククク…。」


    床が私の鮮血で染まる。


    そうだな…。

    久しぶりに他人に祝って貰った。


    「ありがとう…。」


    それが、今年の誕生日の出来事だ。



    閑話休題



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    こちらより




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