スポンサーサイト

     --, -- --:--
    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    百鬼夜行抄 外伝 Ⅲ  7

     08, 2015 07:00

    朱雀(今日子)の悲鳴が遠くなりそのまま意識を失った。


    次に意識を回復した時はその場が居間から客間へと移っていた。


    勿論、僕は雁字搦めに縄で括られ畳の上に転がっていた。


    そっと目を開けて取り敢えず状況の把握に務めたが、肝心の僕を妖刀で切りつけた犯人がその場に居ないようで謎は謎のまま。


    朱雀や物の怪達は危害を加えられた様子はない。


    側に怯えた表情で座っている朱雀にヒソヒソ話しかけてみた。


    ヒソヒソ・・・


    「おい、朱雀。一体何がどうなったんだ?」


    「あ、おにま!気がついたの?・・・良かった~。」


    「良かったじゃ無いぞ。一体何のための式神なんだよ!」


    「あ、うん・・・それは、その・・・ごめんなさい・・・」


    「・・まあいい。それで、今の状況を説明してくれ。」


    「う~んっと・・・・よく解らないの・・・」


    「おい、こら。なんだそれは。」


    「だって~、いきなりおにまが切りつけられて、そのまま倒れて・・・・」


    「だから、その後どうなったんだ?」


    「う~ん・・・どうなったって・・・そのままここに皆一緒に連れて来られて、そのままじっとしていろって・・・」


    「犯人はどこ行ったんだ?てか、犯人は誰なんだ?」


    「え~っと・・・犯人は・・・」



    朱雀が答える前にその犯人が現れた。



    「あら?気がついたの?・・・・エイっ!!」


    部屋に入ってきてすぐこちらに気がついた様で、全く躊躇無く再び僕を妖刀で切りつけた。


    が、僕だってそこら辺の似非霊能者じゃ無いので、二度も三度も不意討ちを食らうわけがなかった。


    部屋を転がりながら体中グルグル巻きされた縄を霊術で解き、妖刀の切っ先を避けながら体制を整えてその犯人に対峙した。


    その犯人とは・・・最初にこの一行をここに連れてきた猫娘だった。


    「もぅ!!!何よ!!妖刀って言うから一発で殺せると思ったのに、ちゃんと切っても切れないし、今度は全然当たらないし、どうなってるのよ~!」


    僕を殺せない事に苛立って猫娘が喚き散らした。


    「おい、ちょっと待て。一体全体お前が何故僕を殺そうとするんだ?」


    「何よ!!!忘れたの!!!八雲が私をこんな姿にして、あんな霊界バスの乗務員にしたんじゃない!!私は絶対あんたを許さないんだから~~~!!!」


    は~、そういう事ね・・・また爺ちゃん絡みか~・・・


    「あのな、僕は八雲じゃないよ。孫の純一郎なの。」


    「そんな嘘が通用するか~~!!!私が敵(かたき)を見間違う筈がない!!」


    「いや、違うってば、爺ちゃんはもう何年も前にそちらの世界に旅だったから・・・」


    「そ、そんな・・・・だって、八雲と同じ顔してるじゃないか!」


    「いや、そんな事はないよ。お爺ちゃんとはそんなに似てないから・・・長い年月が経ってるので、きっと記憶があやふやになってるんだよ。」


    「そ、そんな・・・・八雲が死んだ?・・・じゃあ、私はこの姿から戻れないのか?」


    「・・・・う~ん・・・爺ちゃんの呪術がどんなものかわからないので、どうしようもないなぁ~・・」


    「そんな・・・・そんな・・・」


    猫娘は手にした妖刀をその場に落として座り込んだ。


    ちょっと可哀相な気もしないではないが、今回の経緯を考えるとお爺ちゃんがこの物の怪を猫娘にして霊界バスに閉じ込めた意図が何と無く解る。


    多分、それ迄色々悪さを重ねてそれが故にそういった事態を招いたのであろう。


    なので、一切、温情をかける事はやめにした。


    猫娘が落とした妖刀を拾って用心しながら猫娘と対峙した。


    猫娘は僕の姿を虚ろな目で見ながらそれまでの疑問を口にした。



    「・・・なんで妖刀が効かないの?大体なんでその妖刀はそんなに重いの?」


    「う~んっと、なんで妖刀が効かないのかってのは、妖刀をお前が盗んだ事が分ったので(実は猫娘じゃなくて躾妖怪ガオが盗んだと思っていた事は内緒にしたw)式神に命じて妖刀の効力を防ぐ法衣の術を皆に掛けさせたんだ。危ないからね。で、なんで重いのかってのは、元々その妖刀は僕以外の者が持てないように持ち主の呪術が掛かってるんだ。これで良いかな?」


    「・・・お前はずっとここに居たはずなのにどうして私が盗んだ事がわかったんだ?」


    「あのね~!これでも僕は結構名前が売れた能力者なんだよ。式神や下僕の妖怪、物の怪が沢山いるの。で、報告が入って来るんだよ。」


    「・・・気付かなかった・・・・・なあ・・・ならば、私を助けてくれ。元の姿に戻してくれ。」


    「う~ん・・・・・それは出来ないな。今回の事からしてお前は生きてる(?)限り改心することもなく永遠に悪さを続けそうだからなぁ~」


    「・・・ならば・・・もういっその事私をあちらの世界に送ってくれ・・・これ以上この姿でいるのは我慢が出来ない・・・・」



    それくらいはやってあげても良いかな?と思っていた時、そうもいかない事になってしまった。



    「ごめんくださ~い、お世話になりました~」



    運転手のトトロが戻って来たのだ。



    「は~い・・・」



    猫娘に怯えていた朱雀が玄関へすっ飛んで行った。


    そしてそのトトロに怯える猫娘の姿に少々同情を覚えた。


    僕にはこの妖怪や式神たちの力関係が良く解らないw


    鬼子母神を悪さに使いこなす猫娘、その鬼子母神を取って喰う朱雀、しかし朱雀が怯える猫娘、なのにトトロには怯える猫娘、そのトトロのところへ平気に向かう朱雀・・・


    兎にも角にも、その場にいた物の怪達が、皆、猫バスへと戻って行って今回の騒動はやっと一段落だ。



    帰り際トトロが僕に丁寧なお詫びをしていった。



    「どうやら今回のバスの故障も猫娘のしわざだった様で大変ご迷惑をお掛けしました。戻りましたら猫娘はきつく叱りつけておきます。・・・・八雲様にもどうかよろしくお伝え下さい。」



    「はあ・・・解りました。取り敢えず、ここにはもう来ないで下さいね。w」



    「あ、はい・・・承知しました。申し訳ございませんでした。」



    と、いうことで一件落着。(爺ちゃんがあちらの世界に行ったことはあえて言わなかったw)



    「お~い、今日子、母さんが用意して行ったお好み焼き、まだあるかな~?」



    玄関から奥に居る朱雀に聞いた。



    「は~い、おにまが好きなだけ食べられるくらい残ってるよ~」



    元気に答える今日子の声が家中に響いた。











    閑話休題
    関連記事
    スポンサーサイト

    COMMENT - 0

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。