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    (有)AKB探偵社 9 ~週末の予定(2) 

     15, 2016 07:00


    「では・・・内容をお話致します」


    依頼者は埼玉県の南部にある川口市の鳩ヶ谷支庁(2011年に川口と合併する迄は鳩ヶ谷市)の助役であった。

    依頼の内容は・・・・

    今年に入って鳩ヶ谷に隣接する草加市、越谷市で地区毎住民が全滅すると云う事態が発生しているらしい。

    そして今月に入り鳩ヶ谷地区にそれが飛び火したと云うことだった。

    草加市、越谷市には政府の担当者が入り事態の解明に努めているらしいが今の所全く原因が判明せず、ウイルス感染の疑いを視野に隣接地区の隔離を行なっているだけと云うのが現状の様だ。

    被害地区では死者が発生し始め約1週間でその地区の住民全員が死亡してしまうらしい。

    私への依頼の内容はその原因の究明と対策であった。

    ・・・・冗談だろ?そんな事件解決できるか!政府に解決出来ない様な重大事件を一介の探偵社になんて依頼するか普通・・・・

    そうは思ったが・・・・なんと依頼金は手付で1億、解決出来たら5億と云うので本気で(10年ぶりくらい真剣に)考え込んだ。

    ウイルス感染の危険がある(しかもたった1週間で発病し死亡率は100%)。

    まず私に解決出来る気がしない(当然だ)。


    「・・・・深刻に悩まれるのはよくわかります。当然ですよね・・・・。私だっていつ死ぬか解らない状況ですし・・・。」


    「えっ?・・感染されてるんですか!」


    (ちょっと待て!!!!それは聞いて無いぞ!!!)私はちょっと気色ばんだ。


    「あ、いえ、勘違いされないで下さい。私が住んでいる地区ではまだ被害の報告はありません。それにまだウイルス感染だと云う結論さえ出ていないのです。」


    「・・・・そうですか。流石にちょっと躊躇しますねぇ。」


    珍しく自分の本音だった。


    「そうでしょうねぇ・・・被害地区に入ってる政府の担当官は遺書を用意しているらしいです。」


    おいおい・・・・サラッとおっそろしい事を言うなよ~!

    しかし・・・・6億の誘惑に私は勝てなかった・・・・我ながら金には弱い。


    「・・・・解りました・・・お引き受け致しましょう。」


    「ほ、ホントですか?・・・・ありがとうございます!」


    満面の笑みとはこう云う顔だと云う見本を見た気がした。


    「・・・但し、条件があります。手付1億、成功報酬5億ではお受け出来ません。あまりにも生命の危険が高く、割に合いません。あ、失礼な言い方になりますが・・・。」


    「いえ・・・当然のお言葉だと・・・それではどういう条件であればお引き受けして頂けますか?」


    「・・・・全て前払いで7億。(う~ん・・・これは流石にふっかけすぎかな?)」


    「・・・・解りました。それで結構です。支庁に戻りましたら取り急ぎ本日中にご入金させて頂きます。よろしくお願いします」



    あ~~~~~~!!!!!!まただ!!!!これはもっとふっかけても大丈夫だったパターンだ!!!!!クソ・・・・



    まあ・・・いいか・・・・

    勿論私がちゃんとした調査なんかするわけがない。

    適当に調査レポートでっち上げてトンズラしてしまおう。

    「調査の結果、原因は不明」って報告書送ってオシマイ。

    依頼人が文句を言ってきたところでその頃には私はここには居ない。

    なんたって7億だ。それだけあれば今後一生遊んで暮らせる・・・かも知れない。



    しかし・・・・流石に私にだって良心の欠片はあるので見物くらいは行かないとな。(なんて仏心出したのが運の尽きだった)

    金曜日、依頼者からの入金を確認してさっさとその金を海外の隠し口座に送金(勿論アチコチたらい回しにして行き先不明にしてから)して海外逃亡の準備を整えた。

    報告書も来週末に届くようにいつも使っている便利屋に頼んで・・・全て準備万端。

    週末の予定は全滅地区の見学(当然だが内部に迄入るつもりは全く無い。命あっての物種だ)。


    土曜日、朝から嫌な感じの曇り空だった。

    やめとこうか、と言う気が一瞬したが(本能に従えばよかった!)7億の義理をちょっとは果たさないと流石に寝覚めが悪そうな気がして現地へ向かってしまった。

    秋葉を午前中に出発し鳩ヶ谷の入り口に付いたのは丁度正午を回った頃だった。

    ブルドッグソースの地盤らしくソース工場の出す匂いに溢れた街だ。

    食い物と云うのは出来上がりはいい匂いがするもんだが、その途中に出る匂いは何でもすごい匂いがするもんだ。

    とてもソースの匂いには感じられない強い異臭が漂っていた。

    街の入口に差し掛かった場所にドライブインらしき古びたレストランを見つけた。

    丁度昼飯時でもあったので私はそこで昼食を取ることにした。

    駐車場に車が1台も無いことに気が付かなかったのは多分慣れないソース工場の臭いのせいだった。

    足早に駐車場から店内へと急いだ。


    入ってすぐに異臭がすることに気がついたが、外の異臭のせいだと解釈してしまって注意力が散漫になってしまった。

    まわりを確認することもなく近くの空いているテーブルに座った。
    (ドライブイン型のレストランで車が1台もないのに客席は結構埋まっていた不思議さに気付くべきだった)


    「い・しゃ・っら・い。・・・あ~ぐ~」(いしゃっらい。)


    テーブルに置かれた水は・・・・・泥水だった。


    「な・に・ん・ま・し・か・ま・す・・・ぐぶぶぶ」(なんにしますか?)


    私は背筋を凍らせながら店員の顔をチラ見した。

    ・・・・・そんな話は聞いてない・・・ありえない・・・映画じゃあるまいし・・・・

    私の頭は状況の把握にフル回転したが・・・・理解不能と云う結論しか導き出せなかった。

    ただ私の目の前の店員は紛れも無く「ゾンビ」だ。

    店内の異臭は死臭だ。この匂いは何度も嗅いだことがある。

    客も全員ゾンビだ。

    いらいの内容は単なる全滅事件のはずだったのに・・・・騙されたのは私だったのか・・・・





    閑話休題
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