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    終末の予定 7

     23, 2016 07:00



    拡散  pandemia (2)



    2007年 4月

    田宮 杏は珍々堂医科大学に入学した。


    その1年前、杏はかなり如何わしいが秘密だけは守ると云う探偵に連絡をとった。


    「はい、お電話ありがとうございます。AKB探偵社です。」


    「あの・・・ちょっとご相談があるんですが・・・・」


    「はい、どんなご相談でもお受けいたしますよ。探偵には守秘義務がありますのでご心配なく。」


    ふ~ん・・・やっぱり胡散臭い。探偵に守秘義務なんか無いし!と、思いながら杏は素知らぬ顔で続けた。


    「祖母がちょっと病気がちで外に出れないもので・・・・。」


    「はあ・・・」


    流石に探偵も訝しげであったが、評判通りならばそれをおくびにも出さないはずだ。


    「家族の問題なのですが、土地の登記移転や預金口座の整理をして遺産の相続を上手くやってしまおうと云う事になりまして・・・ただ私はそのような事に不慣れなものでどなたかお願いできればと思いまして・・・。どうでしょう?お願いできますか?」


    「はい、全く問題ありません。え~・・・実印と印鑑証明、それと委任状を2~3枚ご用意頂ければ全てこちらで対応させて頂きます。一任と云う事ですので多少依頼金は高めになりますが・・・・。」


    「あ、はい、それは大丈夫です。それでどのようなお支払い方法・・・」


    と、云う事で杏は大学進学の1年前に祖母の所有する資産のほぼすべてを登記の移転、名義の変更という形(しかも全て祖母の委任状付き・・勿論偽造だが・・、オマケに「AKB探偵社」と言う如何わしい代理人ではなく「〇〇(実在する有名)弁護士事務所」名での変更手続き)でその手中に納めていた。

    両親の死後、手塩をかけて大事に大事に育ててくれた祖母の資産全てを奪っていたのである。




    2007年3月16日

    前日に高校の卒業式を終えた杏は、最後だからと祖母を裏山の山菜採りに誘った。

    朝早くから二人で思い出話に花を咲かせながら、山登り、山菜採りに楽しい時間を過ごした。

    お昼のお弁当を頂上付近で済ませ、後はのんびり下山するだけとなった。


    「あ、お祖母ちゃん、あそこに良い山菜有りそう!。」


    杏が急ぎ足でその草むらへと進む。


    「ちょっと杏、そこは先が崖になってるから気をつけるんだよ。」


    祖母は心配そうに、そう注意した。



    「あっ!!・・・・」



    杏が声を上げて草むらに沈み込んだ。



    「杏、杏!どうしたんだい!!」



    慌てて杏の側へと祖母が駆け寄って行った。



    「杏、杏・・・・どうしたんだい・・・・」



    その祖母の背後から杏の声がした。



    「お祖母ちゃん・・・・ゴメンネ・・・・」


    「えっ?・・・・」



    驚いて振り向く寸前、祖母の背中を誰かが押した。


    そのまま祖母は崖下へと転落した。



    「きゃ~!!!」



    落下していく祖母が最後に目にしたのは愛する孫娘の笑顔だった。





    医大への入学と云う慶次の直前に起きた祖母の事故死に周りの人々は杏へ心から同情した。

    杏も葬儀以降家から出ること無く悲しみに暮れながら過ごしているようだった。

    大学進学後すぐに家財や家・土地の処分をしたのも逆にあまりの悲しみにその思い出の場所を残して置くのが辛かったのだろうと推察されて皆の同情を増した。



    その事故は新聞の小さな記事になった。

    「進学を目の前に愛する祖母を失った可哀想な少女」と言った感じのベタ記事だったが・・・・


    探偵は独りごちた・・・・女と云う生き物は・・・・怖い怖い・・・・




    閑話休題
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