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    終末の予定 12

     28, 2016 07:00






    破滅 catastrophe (2)





    2014年 6月 5日 (誕生会前日)



    「やあ、いらっしゃい。史の父です。よく来てくれましたね。お話は史からよく聞かされていました。」


    「・・・初めまして。田宮 杏といいます。史さんとお付き合いさせて頂いております。」


    「いや、可愛いお嬢さんだ・・・・・」


    そう言いながら史の父は杏の顔を見つめて、ちょっと次の言葉が出なくなった。


    「あの・・・どうかされましたか?私、何かお気に触ることでも・・・」


    杏が心配そうに尋ねた。


    「あ・・・いやいや、伺っていた取引先にあなたによく似た女性がいたことを思い出しまして・・・・。失礼しましたね・・・。」


    「へ~、そんなによく似た女性が居たんだ。父さん、その人の事好きだったんじゃないの?はっはっ。」

    そう史が軽口を叩いているとき史の母がお茶を持ってきた。


    「よくいらっしゃいました。暑かったでしょう。冷たいお茶でも如何が?」


    「ありがとうございます。まだ6月なのに今日は暑いですね。」


    その後は4人で取り留めも無い話をしながら2~3時間を過ごした。

    その間も史の父は若干居心地が悪そうな態度を時々見せていたが、息子が女性を連れて来たことに戸惑っているのだろうと、杏は解釈していた。

    夕飯を一緒にと云う誘いもあったが、史が明日の杏の誕生日を2人で祝いたいからと杏を連れ出した。

    明日の誕生会は史と杏と美於士、媛の4人で祝うことになっていたので、杏も史と2人で祝いの食事をする事に異議は無かった。








    2014年 10月某日



    輝夜 媛は翌年受けることになる医師国家試験の相談と云う口実で藤原 史と2人きりでの夕食の約束をした。

    その待ち合わせの場所に媛はわざと遅れて到着した。

    媛は生来、男を虜にする美貌と(教えられることもなく)男を虜にする方法を知っていた。


    史は待ちに待ったチャンス飛びついてきた。

    実のところ媛はこの男を虫酸が走るほど嫌っていた。

    杏から初めて紹介された時、この男は媛を舐めるように見つめ、杏の前で目で媛を犯したのだ。

    気づかぬふりをその時はしたが、媛は男が自分をどういう風に目で犯すかをよく知っていた。

    その上、しばらくすると史は杏から金を騙し取り始めたのだ。

    賢明な杏がこの男に騙されてしまっているのが不思議でならなかった。

    しかし、今はその杏への復讐にこの最低男を利用するつもりでいた。




    「遅れてスイマセン・・・・」


    申し訳無さそうに媛が席に着きながら謝った。


    「いやいや、僕も来たばかりだから・・・・気にしなくていいよ・・・・。」


    1時間も遅れてきたのにそんなはずは無いだろ!と心の中で嘲笑いながら申し訳無さそうに微笑んだ。


    「ホントにゴメンナサイ。お詫びに何でもします。」


    媛の言葉にニヤついた史がキモすぎて危うく店を飛び出しそうになった。


    「ホントに~?じゃあ・・・食事の後に1杯付き合ってもらおうかな?」


    「ええ・・・そんな事で良ければ・・・いつでもご一緒します。」


    正に破顔とはこう云う顔を云うのだろう。

    その日、史は媛の思う壺の行動を取り始めた。

    食事を終え、史に誘われるまま近くのホテルのバーへと移動した。

    多分、史が誤解しているであろう酒に対する弱さを媛は演じた。


    「ちょっとお化粧室に・・・あ・・・ん・・・ゴメンナサイ。私・・・酔っちゃったみたいで・・・・」


    さり気なく史へ枝垂れかかった。


    「・・・おっと・・・これはいけないね・・・ちょっと休んで帰った方が良いね。」


    そう言いながら史は顔見知りであろうボーイに目配せして部屋のキーを受けとった。

    媛はそれを横目で見ながら素知らぬふりでそのまま史の胸にもたれかかった。

    覚束無い足取りを演じつつ、史に抱えられながら部屋へと向かった。



    史は部屋に入るなり媛を抱きかかえベッドへ寝かせる。

    そのまま躊躇している史を促す様に・・・

    媛は酔ったふりを続け、少しだけ寝返りをうちスカートをはだけさせ・・・肉付きの良い、しかし、美しい太腿を史の目の前に投げ出し・・・少しだけ膝を立てた。

    その膝の角度が史の視線の先にを映し出すのか良く解っていた。

    多少残っていた史の理性は吹き飛んだ。


    「媛ちゃん・・・前から好きだったんだ・・・」


    言い終わらぬほどの間に媛の唇を奪う。


    「あ・・・ダメです・・・杏さんに悪いわ・・・・」


    史の行動に驚いた振りをしながら媛はか細い声で囁きながら史の胸をやんわりと押し返した。



    「・・・・杏とは別れても構わない。僕は君が欲しいんだ・・・・。」



    史のホントの気持ちであった。



    「ダメです・・・・私は杏さんに恩があるの。杏さんを裏切れない・・・」


    「そんな事言わないでくれ。・・・もう僕は我慢出来ないんだ。」


    「でも・・・・ダメ・・・・。杏さんから史さんを奪うなんて出来ない・・・」


    「お願いだ・・・1度だけでも良い、君が欲しいんだ・・・・。」



    暫くの沈黙の後媛は呟いた。



    「・・・杏さんには絶対言わない?・・・・・」


    そう囁きながら潤んだ瞳で史の目をじっと見つめた。

    史が完全に媛の虜になった瞬間だった。



    「・・・絶対に内緒にする・・・だから・・・・」




    媛はただ黙って目を閉じた。







    閑話休題
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