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    終末の予定 13

     29, 2016 07:00




    破滅 catastrophe (3)



    2014年 6月 8日


    杏が美於士から相談が有ると連絡を受け約束の場所へ着いたのは夕暮れ時に近かった。


    「どうしたの?そんな深刻な顔して。」


    相談の内容なんて解りきっていたが杏は素知らぬ顔で尋ねた。


    「杏姉さん・・・・どうしよう・・・媛ちゃんと連絡が取れないんた。・・・部屋に行っても居ないようだし・・・。」


    「あら・・・どうしたのかしらね。」


    「どうしたのかしらって・・・・それは・・・あの日杏姉さんが・・・・」


    「えっ?私が?何のこと?」


    「・・・そんなぁ~・・・杏姉さんが媛ちゃんに・・・。」


    「私が媛ちゃんに何をしたっていうの?ちょっと!あんた、人聞きの悪い事言わないでよ。」


    「・・・あ、いや・・・その・・・・」


    「まあ・・・いいわ。それで、どうしたの?」


    「・・・それは・・・あの日・・・媛ちゃんを家に送って・・・・」


    「そう、ちゃんと送ってあげたのね。・・・・それの何が問題なの?」


    そう、杏は全てを承知の上で美於士を追い込んでいるのだ。

    それがこの2人のルールみたいなものだった。


    「・・・・媛ちゃんを寝かせてたら・・・つい・・・どうしても我慢が出来なくなって・・・・」


    「我慢が出来なくなったって・・・あんた、媛ちゃんをレイプしたの?」


    「そ、そんな・・・レイプって・・・」


    「だって、意識のない媛ちゃんにそういう事したんでしょう?」


    「そ、それは・・・そうだけど・・・・」


    「それを世間ではレイプって言うのよ。」


    「そ、それは・・・でも・・・」


    「でもじゃ無いでしょ。そんな酷い事するなんて・・・あんた、最低ね。」


    自分が仕組んで俺をけしかけた癖に!と思ってはいてもそれを口にすることは出来ない。

    それが美於士と杏の関係・・・掟であった。


    「・・・ゴメンナサイ。・・・杏姉さん、どうすればいい?媛ちゃん何処に行っちゃったんだろ?」


    「そんな事知らないわよ。・・・・初体験が自分が8年も付き合った男からのレイプじゃどっか行きたくもなるでしょ。」


    「・・・・そんなぁ~・・・頼むよ、助けてよ。俺はどうすればいい?・・・」


    「全く・・・・ちょっとは男らしくしなさいよ!・・・しばらく、放っておきなさい。」


    「えっ?放っておくって・・・・。」


    「そのまんまよ。何もせずにただ黙って媛ちゃんが帰ってくるのを待ちなさい。」


    「・・・・それで・・・俺達はどうなるの?・・・・・」


    「・・・どうなるかって、それは、媛ちゃんがあんたの事がホントに好きだったら・・・まあ・・・ホッペタの2,3発はひっ叩たかれるでしょうけど、また付き合えるわよ。」


    「・・・・ホントに好きだったら・・・じゃあ、そうじゃなかったら?」


    「・・・ふん、そうじゃなかったら・・・警察に告訴でもされるんじゃないの?」


    「そ、そんなぁ~・・・杏姉さん・・・助けてよ~。」


    「・・・・知らないわよ。自分がやった事の責任くらい自分で取りなさい。いい年してあたしに泣きつかないの!」


    「・・・・そんなぁ~・・・。」


    「兎に角、しばらく大人しくしてなさい。媛ちゃんが帰って来なくちゃどうしようも無いでしょ。」


    「・・・うん・・・。」



    その頃・・・・媛は実家で杏の真実を調べ始めていた。

    杏は平穏なこの8年で、疑惑が悪意を育て、悪意が人を復讐に駆り立てる事を忘れてしまっていた。



    それから2週間ほどして美於士の元に媛から今からすぐに行きつけのレストランへ来るようにと連絡が来た。

    突然届いたメールに美於士は怯えながらも待ち合わせの場所へと急いだ。

    店へ入るといつものテーブルに媛が座っていた。

    ほとんど走るようにして媛の前に立ちすくんだ美於士へ媛は無表情で座るように促した。


    「お・・・遅くなってごめん・・・。」


    「・・・・それより前に言うことがあるんじゃないの?」


    冷たく言い放つ媛の言葉に美於士は戦慄を覚えた。

    まるで杏が座っているようだった。


    「・・・こ、この間は・・・あんなことをして・・・ホントに、ホントにゴメンナサイ。死ぬほど後悔してます・・・ホントに・・ゴメ・・・」


    「じゃあ、死んでよ。」


    「あ、・・・・それは・・・」


    「何よ、出来もしない事言ったの?ふん・・・・どうせその程度にしか悪いと思って無いんでしょ。」


    「いあ・・・そんな事はない・・・です・・・。媛ちゃん、ホントにゴメンナサイ、許してください。・・・・お願いします、許してください。」

    媛は・・・許すつもりは端から無い。

    しかし、杏への復讐にはこの男は必要だった。


    「・・・・解ったわ・・・許して上げてもいいわ。でも、条件があるわ。」


    「ほ、ほんとに?・・・うん、何でもします。媛ちゃんの言う事は何でも聞きます。」


    「・・・いいわ。じゃあ、約束して。2度とあんな事はしないって。」


    「する、します。絶対、2度としません。ホントに2度と媛ちゃんを傷つけるような事はしません。約束します。」


    「・・・・いいわ。じゃあ、許して上げる。・・・・でも、しばらくは会いたくない。私の気持ちが落ち着くまで・・・時間をちょうだい。」


    「・・・うん、解った。いつまでも待つよ。媛ちゃんが許してくれるまで、俺は待ってる。」


    「・・・じゃあ今日はもう帰って。・・・私から連絡するから。」


    「うん、解った・・・連絡待ってる。」


    後ろ髪を惹かれる思いで美於士はその場を後にした。


    媛はうなだれて帰っていく美於士を見送りながら、あの夜の屈辱を再び思い出し、杏へ復讐を固く心に誓った。




    閑話休題
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