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    天使  2

     25, 2012 19:00

    正史は、ベンチで震える佐知の姿をじっと見ていた。


    暫くして、徐に近付き声をかける。


    「大丈夫?」


    聞き覚えの無い声に、佐知は恐る恐る目線を向ける。


    【聞こえない。】

    【この人からは、聴こえて来ない。】

    【みんなとは、違うの?】

    【なぜ?】


    佐知の頭の中を、

    【?】

    が駆け巡る。


    「どうしたの?大丈夫?」


    正史は心配そうに佐知の顔を覗き込んだ。


    「はい…。大丈夫で‥す。」


    思わず語尾が掠れそうになった。


    本当は大丈夫ではない。


    溢れかえる悪意で、佐知の頭は今にもパンクしそうだ。


    「少し歩かない?」


    佐知の心を見透かした様に正史は誘う。


    佐知も取り敢えず誰もいない所へ行きたかった。


    「う‥ん…」


    佐知が答え終わる前に、正史は佐知の手を取り歩き出した。


    「あ、あの、ちょっと…。どこに?」


    正史はそれには答えず、ただ微笑むのみだ。


    佐知も思わず微笑んだ。


    相変わらず、周りからは悪意の洪水だが、
    やはり正史からは悪意のひと欠片さえ感じられない。


    佐知は不思議な感覚に支配され始めていた。


    【このまま、この人とどこかに行ってしまいたい。】


    溢れかえる悪意さえ、正史と一緒なら耐えられそうな気がする。


    【たった今、会ったばかりだというのに。】



    佐知の足取りが軽くなった。

    まるで天使の羽根を、正史から受け取ったかの様に…。



    つづく



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    こちらより




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