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    君の名は

     09, 2012 19:00

    その日は仕事が立て込んで、1日中あちこち飛び回りクタクタだった。

    適当に夕食を済ませシャワーを浴び、一杯引っ掛けテレビを眺めていたらウトウトしてしまった。

    ふと目を醒ましテレビをみると、砂嵐…。

    なんだか懐かしい。最近は見た事があまりない。


    「珍しいな…。」


    一人言を呟いていた。


    「いかん!一人言、言う様になったら末期症状だ。」


    と、また一人言。

    ちょっと凹み気味で残っていた酒を飲み干した時、突然テレビに女の子が映った。

    誰だこの子?

    女の子は自分でカメラをセットしてソファーに座り徐に話し始めた。


    「おはよう… こんにちは… こんばんは… いつ見てるか分からないから、挨拶、全部。…。」


    なんだ、こりゃ?


    「今日は… とっても疲れたのです… お仕事きつかったのです… でもぉ… とっても、充実なのです。」


    はあ?


    「ぷっ!」


    思わず吹き出してしまった。

    その後も、その可笑しな放送は続いた。

    ただ、変な事にその番組は、数分単位で終わりと始まりを繰り返し続けた。

    いつの間にか僕はその番組の虜になった。

    夜中で酒も入っていると云うせいかもしれないが、兎に角可笑しい。

    テレビに釘付けなんて久々だった。


    「あ~、面白れー!」


    また、つい一人言。


    「ありがとうなのです…。」


    突然脈絡もなく、テレビの中の彼女がニッコリ微笑んで言った。


    「えっ?嘘だろ!まさかな…。」


    まさか、僕の一人言に返事をした訳ではあるまい。


    「何が… 嘘、なの… 分からない… から、教えて欲しいのです…。」


    「えーー!テレビが返事した!」


    頭がイカレちまったのか…。


    「ぷぷぷ… なのです… テレビは返事しないのです…。私が返事したのです…。」


    「有り得ない。」


    「それが、あるのです…。」

    即座に彼女が答える。

    この事態をどう理解すればいいのか…僕は混乱しまくった。


    「大丈夫なのです…。」


    何が大丈夫なのかさっぱり解らない。

    しかし、実際にテレビの中の彼女は僕に話しかけているのだ。

    異常な事態ではあるが、ちょっと酔っ払っていたせいもあり…。


    「ま、いっか!」


    「そうです…。いいのです…。」


    彼女が微笑む。

    よく見るとかなり可愛い子だ。

    ラッキーなのかも知れない。

    思い切って聞いてみた。


    「君の名は?」


    ・・・・・・・突然彼女がテレビから這い出しながら答えた。









    「貞子!」




    ひぇーーーー !



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