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    誰かがそばにいる  2

     15, 2012 19:00

    「ママ、ここが香織の新しいおうち?」


    香織が無邪気な声で明るく香澄に聞く。


    「そうよ~。新しいおうち。ママと2人で暮らすの。」


    「うん!ママと2人がいい!」


    香織は幼いながらも、父が母に何をして苦しめ続けたか理解していた。

    父のいない暮らしは、香織にとって寂しさよりも安堵の気持ちが大きかった。

    香澄は荷物を運び終わりダンボールの片付けをしていた時に最初の違和感を感じた。

    4階建て5部屋…20世帯が住む筈のマンションであるが、エントランスのポストには投入口にほぼ全てテープが貼られていた。

    開いているポストは3つ。

    404、304、204…

    香澄の部屋が404号なので、全てその階下になる。

    一体どう云う事なのか…。

    香澄の胸に微かな不安が過ぎった。


    「下見の時には気付かなかった…。」


    「ママ、どうしたの?」


    香織の声で我に返りエレベーターホールへ向かった。



    (なぜ?)



    エレベーターが4階に上っていた。


    (そ、そうね…きっと4階には他に住んでる人がいるんだわ…。)


    自分で自分を納得させて、香織には動揺を悟られないように気を付けた。

    エレベーターのボタンを押す。

    しかし、しばらく経ってもエレベーターが動く気配はなかった。


    「ママ~。まだ~?」


    香織がしびれをきらせて香澄の袖を引く。


    「エレベーター、故障かなぁ~。階段で行こうか!」


    香澄はわざと明るい声で香織に答えたが、内心は動揺が抑えられなくなりつつあった。


    「わかった~!ママ、お部屋まで競走~!!」


    香織は言うや否や勢い良く駆け出した。


    「待って香織!危ないよ~。」


    香澄も後を追った。

    その直後背後でエレベーターが1階に降りドアが開く。

    香織を追いながら香澄は背後に何かの気配を感じ、思わず振り返った。

    だが、そこには空のエレベーターがドアを開けているだけだった。

    その時、香澄の足が何かに引っかかって香澄は思いっきり転んだ。


    「キャー!痛い!」


    香澄の悲鳴に香織が驚いて駆け寄った。


    「ママ、ママ、大丈夫?」


    「あ、うん…。大丈夫。ママ、転んじゃった。」


    「ママのドジ~。」


    「アハハ、そうだね~」


    明るく笑ったが香澄は恐怖におののいた。

    足元には何一つなかったから…。

    確かに何かに引っかかって転んだのだ。

    一体何に引っかかったのか…。


    「香織、早くお部屋に帰ろうね…。」


    その顔は青ざめていた。


    つづく




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    こちらより




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