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    時の片~かけら  12

     08, 2012 07:00
    7日目。


    少しづづ順調に思い出していた記憶が4日目を境に何も思い出せなくなった。

    朝起きてもぐっすり眠った感覚のみ残り、3日目までのように夢?を見ることも無かった。

    落ち込む私を潤子さんが慰めてくれるが、それが一層申し訳なく更に気分を重いものにした。


    救いは私と同じような記憶障害と云う病ながらも明るく元気な幸治君の姿だった。

    家業の突然の廃業、父や母の転職、その上突然の父の死・・・

    潤子さんから事情を聞かされ、わずか10歳の子供には酷な状況で自らの記憶を封じ込むのも無理絡むことだと納得した。


    なのに、幸治くんはいつも明るく元気に私を励ましてくれる。

    今朝もちょっと落ち込んだ様子を見せてしまった時、直ぐに幸治君が励ましてくれた。



    「大丈夫だよ!早苗お姉さんは僕がお医者さんになって必ず治してあげるから!」


    「あら(´・∀・`)?幸治、お医者さんになるの?この間まではパイロットになるって言っていたじゃない!」


    「・・・・忘れたよ~~~だ。僕も病気だもん!」


    「あら(´・∀・`)?また、都合のいい病気だこと!」


    「キャハハ・・・・」


    「ウフフフ・・・・」


    「っぷ・・・あ、ごめんなさい・・・」


    二人のやり取りについ、笑ってしまった。


    「あら、いいのよ・・・少しは元気が出たかしら?」


    「あ、ハイ!幸治君に元気貰いました。・・・幸治君、立派なお医者さんになってお姉さんの事、絶対治してね。」


    「うん!任せといて!」


    「あらまあ!お口だけは立派なお医者さんだこと!」


    「え~~~~!お母さん酷い~~!」


    「ぷぷぷ・・・・」


    「キャハハ・・・・」


    考えてみると潤子さんだって辛いはずなのだ。

    旦那さんを亡くしてまだわずか2ヶ月ほどなのだから・・・

    それなのにそんな素振りを全く表に出さない潤子さんを私は凄いと思う。

    私も元気出さなくっちゃ!



    その日はすぐ近くの長崎港の納涼花火大会があるらしく市内最大の繁華街の浜の町は見物客でごった返していた。

    幸治君との約束で潤子さんも出かける予定だったらしく、私にもお誘いが来た。

    私は喜んでそのお誘いに乗って、潤子さんから浴衣を貸してもらい気分転換も兼ねてみんなで出かける事にした。

    楽しく過ごしていた花火見物だったが、途中から私は頭痛を感じ始め終わり頃には我慢できない程にまで悪化してしまった。

    とうとう帰り道で歩けなくなり潤子さんが薬を買いに行ってくれることに・・・


    「幸治、お姉さんとここに居て。お母さんお薬買って来るから。」


    「うん、わかった。」


    「ちゃんとお姉さんの傍にいてみていてあげるのよ。」


    「うん、大丈夫。」


    「直ぐに戻って来るから早苗さんチョットだけ我慢していてね。」


    「スイマセン・・・また、ご迷惑掛けて・・・」


    「何言っているの・・・でも、明日はお医者さん行きましょうね。」


    「はい・・・ありがとうございます。・・・・」


    潤子さんは少し急ぎ足で薬局に向かった。

    待つあいだ幸治君が心配そうに私を見ている事に気づいていたが、幸治君を気遣う余裕が私には全く無かった。

    しかもその頭痛は時を追うごとに酷くなってきた。


    「痛い・・・・幸治君、どうしよう・・・お姉さん、もう我慢出来ない・・・」


    「お姉さん・・大丈夫?どうして欲しい?・・僕、どうすればいい?」


    「幸治君・・・ありがとう・・・傍にいて・・・」


    その時、一瞬にして私の周りが昼間の明るさになった。

    頭痛から目がおかしくなったのかと思える程の明るさだ。


    「お姉さん!・・・・」


    幸治君の声にそっと振り向いた時、幸治くんの驚きを隠せない姿を見て私は愕然とした。

    幸治君は夜の暗闇にいたのだ。

    私の周りが昼間の明るさになったのでは無かった。

    私自身が光っているのだ。

    私は突然の出来事にパニックになった。


    「どうしよう!どうしよう!幸治君どうしよう!怖い・・・怖い・・・」


    その間にも頭痛は激しさを増し私の頭は割れんばかりに痛んだ。


    「痛い・・・怖い・・・幸治君・・助けて・・・・」


    あまりの事に幸治君もなすすべがないようだった。

    ただ立ちすくんでいるしか無い・・・・


    その時がやって来た。

    私の体を包む光が七色に変色を始め徐々に私の体が薄く消え去ろうとしはじめた。


    「こ、幸治君・・・怖い・・・助けて・・・」


    言いながら・・・私は解っていた。

    まだ子供の幸治君に為すすべが無い事を・・・

    怯える小鳥のように幸治君に縋りたかった。



    しかしその時、幸治くんが私を力一杯抱きしめた。

    体中の勇気を振り絞ったに違いない。


    そして言った・・・・



    「大丈夫だよ!僕が守ってあげるから!」



    私はその瞬間、全てを思い出した。

    何故幸治くんに初めてあった時から不思議な安心感を抱いたのかも理解した。

    それは私の未来の思い出だったから・・・







    ・・・・・・・私の体は再び消失した。



    続く



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    こちらより




    ご訪問ありがとうございました。

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    COMMENT - 2

    小町  2012, 08. 08 [Wed] 16:14

    うおおおお(@@;

    幸治君と早苗ちゃん

    どうなるん?

    やっぱそ 10年後で 会うんかぃ?

    うおおおw

    気になるぞぉぉw


    Edit | Reply | 

    紫水  2012, 08. 08 [Wed] 21:21

    Re: うおおおお(@@;

    こんばんは。

    さて・・・

    いつ出会うかは・・・

    お楽しみ、お楽しみ♬

    いつも、こちらにまでコメントありがとうございます
    m(_ _)m

    Edit | Reply | 

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